LGBTの児童生徒の学校生活~教員に求められる理解(4)学校現場での支援のヒント

eye-catch_1024-768_hidaka宝塚大学看護学部教授 日高 庸晴

LGBTをはじめとするセクシュアルマイノリティ(以下、LGBT)である児童生徒は、クラスに一人は存在すると推定される。彼らは性的指向と性自認が世の中の大多数と異なるだけ、それだけの違いであるにもかかわらず、思春期・青年期にその違いに起因した困難な状況に数多く直面する可能性が高い。

教員はその現状を直視するとともに、その後の支援と対応の在り方を、真剣に考えなければいけない時期を迎えている。これからデータや事例で示すことは、圧倒的に教員に知られていないことばかりである一方で、これまでの教員生活を反すうしてみれば、少なからず心当たりや経験がある事例ではないだろうか。

筆者が平成28年に実施したLGBT全国インターネット調査(47都道府県全てからの有効回答数1万5064人)によれば、いじめ被害経験率は全体平均58%であった。セクシュアリティ別でみれば、ゲイ男性59%やトランスジェンダー(MTF:男性から女性へ性別移行)68%、トランスジェンダー(FTM:女性から男性へ)58%が高率である。先生がいじめの解決に役立ってくれたと認識しているいじめ被害経験者は、わずか14%であることも同時に明らかになっている。

また、不登校経験率は全体で21%、10代に限定すれば32%であり、とりわけ10代のレズビアン・ゲイでは30%前後、トランスジェンダー57%前後と極めて高率であった。おそらく多くの自治体が現在経験している不登校率は3%前後であろうか、それに比すると異常といえるほどの現状がLGBTの児童生徒にあることが示唆されている。いじめ被害や不登校の背景に性的指向や性自認の関与があるかもしれない、という想像力を働かせることが必要である。

ある教育委員会の指導主事が「女の子同士仲良くしていて手をつないでいるような子を見れば、お前らいつも仲がいいな、レズみたいに見えるぞ!」とからかい、それが男子同士で戯れ合っているのであれば「ホモやおかま、オネエか?」とわざと声を掛けてきたという。さらに本心を言えば、「こういった言葉に多くの生徒たちが大笑いするので、生徒を笑わせることができる学級経営のうまい担任になれた気がしていた」という。

程度に差はあるものの、こういった言葉を放ってしまった経験が、一定数の先生方にあるのではないだろうか。HIV感染予防の話をする際に、「男同士恋愛する奴はホモと言い、ホモの女版はレズと言うのだけど、どっちも気持ち悪いよな」と保健体育の授業中に話す教員の言葉に深く傷ついたレズビアンの女子高生もいる。

レズ、ホモは侮蔑的に使われてきた経緯があり、好ましくない言い回しである。レズビアン、ゲイという呼称が現在では望まれているといった基本的な知識を身に付けるとともに、教室に当事者の児童生徒が一人はいるかもしれない、という想像力と緊張感を持って教壇に立つことが、今、求められている。


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