子どもの貧困と学校給食(4)未納への対応と会計方式

eye-catch_1024-768_gan跡見学園女子大学教授 鳫咲子

給食費の会計には、私会計方式と公会計方式がある(図表)。給食費を学校長名義の口座で各学校が管理する私会計の場合には、学校の教職員が未納の督促を行い、未納分は他の生徒の負担になったり、食材購入に影響が出たりする。公会計であれば、自治体職員が督促を行い、未納分は自治体の負担、すなわち税金による負担となる。

図表
図表

平成27年に、埼玉県北本市の公立中学で給食費未納が3カ月続いた場合に、未納家庭に給食の提供停止を通知するという事件があった。北本市の中学4校の3カ月分の未納額は計180万円になり、私会計方式であったため、食材の購入に影響が出ると判断された。通知後、未納家庭が納める意思を示したため、引き続き全生徒に給食が提供されたが、子供の心情に配慮しない方法には問題が多い。

給食費を自治体の会計で公会計として取り扱っている割合は、小学校28%、中学校38%であるが、小・中共に公会計の割合は増えつつある。公会計化に伴って現金集金から口座振替に変わった場合に未納が増えることもあるが、未納を防ぐため児童手当からの天引き制度を同時に導入している自治体もある。

保育園の保育料には給食代も含まれているが、保育料は給食費と異なり自治体の公会計で処理されているため、未納があっても保育園の給食の質の低下には直結しない。

学校給食費の公会計化が遅れているのは、戦後、学校給食が国や自治体の補助金を得て一斉に開始されたのではなく、学校ごとに実施されてきたという歴史的経緯によると考えられる。

27年度調査で、公立学校において保護者が負担する完全給食の学校給食費の年額は、小学校約4万7370円、中学校約5万4130円である。一校当たりの給食会計の年間規模は小学校約1500万円、中学校約1800万円にもなる。

これだけの金額を会計法規によらず私会計で処理することには、会計の透明性、公平性の観点から問題があると各自治体の監査でも指摘されている。

19年に群馬県教委は、「学校給食に係る事務の透明性の向上、保護者の負担の公平性の確保等、学校給食を取り巻く諸課題に迅速かつ適切に対応するため、学校給食については、地方自治法第210条に規定された総計予算主義の原則に則り、公会計により適切に処理」するようにとの通知を行い、県下の市町村では公会計化が進んだ。文科省も教員の多忙化対策から、公会計化を進めている(29年4月11日参・総務委答弁)。

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