クオリティ・スクールを目指す(110) 幼児期の非認知能力を探る

eye-catch_1024-768_takashina-school教育創造研究センター所長 髙階玲治

成長を導く研究の深化への期待

最近、幼児期からのやり抜く力など非認知能力の形成が将来の経済的・社会的成功度を高めるという経済学者等の考えが急激に浸透しはじめている。

『初等教育資料』7月号は幼稚園教育年鑑であるが、その中に2つの大学の非認知能力に関する研究が載っている。極めて興味深い内容である。

非認知能力とは、学力や科学的思考などの認知能力と対比されていて、頑張る力やコミュニケーション能力、セルフ・コントロールなども含めて考えらえている情動的な働きを指すが、一定の概念はまだ形成されていない。

今回の2つの大学の研究は幼児期の成長を細かに観察しながら、非認知能力がどう形成されているか、また認知能力との関連はどうかなどを追究するものである。

鳴門教育大学の研究は、幼児期において、協同の場や空間で協働する必要感が生じると、自発的に遊びの課題や目標、必要な技術の獲得などに向かっていく意欲が増す傾向があるという。3歳児、4歳児、5歳児とその発達に応じて非認知能力の現れ方にやや差異がみられるとしながら、試案としてその育成を促す視点を提示している。

▽自分の存在感や安心感を持つ

▽環境や自分とは異なったものと出会う

▽自分とは異なったものへの興味や関心を持つ

▽交流する。関係性をつくる

以上である。

さらに認知的能力との関連で、「科学する力」を支えるものとして、「科学する心」や「協同的感性」の力が重要で、「支え促す」という働きがあるとする。

お茶の水女子大学の研究は、幼稚園入園から小学校2年生まで4期に分けて観察しているが、どの時期にも通底している非認知能力があって、それは「安定・安心」だという。どの子にも重要な要素だとする。

また、「挑戦・試す・試行」「自発性・能動性・主体性」はどの時期でもみられるが、各時期で質的に変化するという。

さらに、「葛藤」は第Ⅱ・Ⅲ期に増え、「つながる・連帯・一体感」は第Ⅱ期に急激に伸びるという。第Ⅲ期は、「仲間意識・信頼・受容・思いやり」などがさらに豊かになり、学級への「連帯」となって児童期につながっていくとされる。

こうした研究は極めて貴重である。非認知能力の形成は将来的に極めて重要であるが、その理解や指導のあり方はほとんど浸透していない。

非認知能力を豊かに育てることが、学力向上などの認知能力をさらに高める可能性が大きく、両者の関連がどうであるか、今後の研究の深化に大いに期待したい。それは指摘されているように国としての経済的・社会的な力を生み出す基底にもなるのである。