目指せ管理職 学校管理職合格講座 IV(19)校長の対応判断

eye-catch_1024-768_kyouikukanri教育新聞 教育管理職研究会編

生徒の傷害事件から考える
○他校生徒とのトラブルで保護者から訴え

夏季休業中に、他校のA校3年生の保護者から電話で、「校長あるいは教頭と話をしたいので会いたい」との連絡があった。用件を聞くと、「校長と会った上で話す」との答えであった。

次の日に自校で話を聞いた。A校の3人の保護者が来校した。話の内容は、「○月○日○時頃、A校の近くで、本校の3年生4人から理由も無く暴行を受け、2人が打撲傷を負い、2日の通院となり、残りの1人も痛みが今も残っている」ということであった。この日は、相手の3人の生徒の現在の様子などを聞くことにとどめ、「お話は伺いました。どうするか後日連絡します」と返答して終わった。

次の日、校長と学年主任、生徒指導主任、学級担任が同席の上、本校の該当生徒から事実関係を聞いたところ、当該生徒全員から「ほぼ相手の保護者の言い分が事実である」と分かった。同席した保護者も生徒の加害事実を認める。話し合いの末、被害生徒・保護者に対し、当該生徒、学校、保護者から相手校に対して謝罪することとした。その間、加害生徒に対し、学級担任、学年主任、生徒指導主任などによって、生徒個々および保護者を交えた指導が行われた。

○被害者、加害者間で話し合いが続く

1週間後、相手校で、被害生徒・保護者に対し、加害生徒、保護者から反省と謝罪が述べられる。相手校の教職員は打ち合わせの上、不参加。「なぜ理由も無いのに暴行したのか」「被害者の気持ちが分からないのか」「親、保護者の責任は無いのか」などの発言が連続して出される。

これに対し謝罪を繰り返すが、被害生徒の保護者が納得できないまま終わった。その後、被害側の保護者と、加害側の校長、生徒指導主任、加害生徒の保護者との間で同様の話し合いが続いた。しかし、話し合いの中で、被害側保護者から「謝罪は分かったが、けがをし、精神的にも大きな苦痛を受けた」「どうしたらよいか弁護士とも相談している」との話があった。意味を問うと「治療費」「精神的苦痛への慰謝料」であり、加害生徒、保護者に請求がなされた。慰謝料については、校長の予想を超えたものであった。

4回の話し合いの後、加害生徒の保護者から、改めて謝罪する。校長からも、「本人たちは二度とこのようなことはしない」と反省していることを伝えるとともに、今後も学校として、生徒が正しい行動がとれるよう責任を持って指導すると約束した。その上で、「治療費、慰謝料等を含めた話し合いは、学校、校長は関与せず、被害者、加害者側の保護者によって話し合い、双方納得いくようにしてほしい」と伝えた。

後日、慰謝料等が支払われ、双方の和解が成立した。

○生徒が正しく判断、行動できるよう指導

[校長としての対応のポイント]

▽校長の対応の基本は、「学校の役割は、生徒が正しく判断、行動できるよう指導する」である。過ちを犯した生徒に、継続的に寄り添い、温かい指導を心掛ける。

▽学校の管理下で起きた事件ではないが、校内外からの校長への要請・要求には、丁寧・迅速に対応する。対応の詳細について、記録を取る。

▽学校の役割と保護者責任を明確に区別して判断する。

その他の留意事項を示す。

・校長が対応すべきか判断する―通常は在籍校に相談するもの。突然、こちらの校長を指名してきた意図、相手校内の経緯等を知る。

・話、訴え、要求などは丁寧に聞く―初期対応は慎重、丁寧に。

・正確な事実、被害生徒や保護者の気持ち、訴えの詳細な内容を正確に把握する。把握できない段階での拙速な対応は避ける―正確な事実の把握と正しい判断を。

・校長は、生徒が加害の事実を訴えの通りと認め、心から反省していると読み取る。

・校長は、加害側の保護者がわが子の過ちを認め、保護者として心から謝罪したいという思いを読み取る。

・相手校の校長とは事の推移など密に連絡を取る―対応、生徒への指導・ケアなど。

・対応について教員の共通の理解を図り、指導姿勢、日頃の実践に生かす。

・場合によっては、教育委員会など関係機関と相談し、対応する。