目指せ管理職 学校管理職合格講座 IV(20)見逃すな! 子供の貧困問題

eye-catch_1024-768_kyouikukanri教育新聞 教育管理職研究会編

早期の発見・対応ができる体制に
○教育現場の喫緊の課題

「子供の貧困」が深刻な社会問題になっている。厚労省の「国民生活基礎調査」(平成28年実施)によれば、「子供の相対的貧困率(17歳以下の子供全体に占める年間所得122万円未満の世帯の割合)が、13.9%となった」と公表された。これは7人に1人の子供が相対的貧困の中で育っていることを意味している。また、ひとり親家庭の子供の相対的貧困率は、OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本は加盟国でワースト6位という結果。「社会的擁護者」(※)が現在約4万5千人。そのうちの半数以上が虐待を受けた経験がある。

家庭の経済状況は子供の教育環境に大きく影響することから、この貧困問題は教育現場においても差し迫った課題の一つである。

○現状を把握する(見える貧困、見えない貧困)

管理職は、自校の子供たちの貧困に関わる問題をしっかりと把握しているだろうか。給食費等の未納、就学援助を受けている家庭などから「見える貧困」の実態は把握しやすい。しかし、経済的困窮による「文具や教材が買えない」「不登校に陥る」「学力が低下する」「DV被害を受ける」などの中に「見えない貧困」が要因としてある場合、十分把握できているとは言えない。日々子供たちと関わっている教職員の「気付きの中のはてな」を見逃すことなく、しっかりと個々に対応していくことが大切である。

○確認する(家庭訪問や面談を実施)

教職員が気付きや情報を入手したとき、管理職は、校内のケース会議等の中で随時、場合によっては直ちに検討することが不可欠となる。その際、実態把握の内容や対応策を共有しながら、その家庭のプライバシーに配慮し、家庭訪問や面談など、確認作業にチームとして早急に取り組む必要がある。

面談の際、当該保護者は教職員に尋ねられて、「はい、~に困っている」とはなかなか言えないものである。しかし、言葉を選んだり、顔色が変わったり、時には沈黙したりなど表情や言動に表れやすい。このとき大切なのは、あくまでも「子供は将来社会を担っていく大切な社会の宝である」「子供の思いと夢の実現のために」との願いを持って、共感的に話し合う姿勢である。管理職が同行していくなど、必ず複数での対応が必要である。

○関係機関との迅速な連携

校長は、ケース会議を招集して、保護者との面談結果を基に、観察を継続すべきケースなのか、迅速に次の対応が必要なケースなのかを判断し、対応することとなる。

学校の対応には、次のようなことがあろう。

・児童生徒への教育支援の制度の紹介や説明を行う。生活保護法による「要保護」と認められた者への支援制度、市町村による要保護者に準ずる程度に困窮している者への「準要保護」の支援制度などがある。

・それらの制度の活用や、日々の悩みの相談などを含めた民生児童委員の紹介や、委員の役割の説明を行う。

・ケースによっては紹介だけではなく、役所の関係課への報告や民生児童委員との情報の収集や共有、児童相談所との連携、協力依頼も必要不可欠である。特に虐待などの兆候が見られる場合などは、即時対応が求められる。

管理職は、日頃から、教職員の観察や気付き、また子供たちの生活実態には常に関心を持ち、貧困から起こりうる兆候を見逃すことなく、「早期発見、早期対応」ができる校内体制づくりを進めることが重要である。

※[参考]社会的養護
保護者のいない児童や保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うこと。
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