目指せ管理職 学校管理職合格講座 IV(21)新学習指導要領の全面実施への道のり その1

eye-catch_1024-768_kyouikukanri教育新聞 教育管理職研究会編

校長の指導で教育目標を具体的に
○学校の在り方が問われている

「……『知』の大競争がグローバルに進む時代にあって、今、直ちに教育を抜本的に改革しなければ、日本はこの厳しい国際競争から取り残される恐れがあります」。

これは、教育再生会議の最終報告で述べられたもの。変化の時代に対応できる学校教育への転換を強く求めていると捉えたい。校長には、「抜本的な改革とは何か」を考え、近年の教育改革の動向を的確に把握し自校の経営に生かすことが不可欠となっている。今次の学習指導要領の改訂も教育改革の経過を踏まえて把握したい。教育課程の実施には、教職員の在り方、校内の意志決定・実施への仕組みなど学校の在り方が問われているからである。

◯2つの施策、答申から教育改革を読む

近年の教育改革は、平成15年前後から急速に進められてきた。その概要をつかむために、次の2つの施策、答申を改めて見てみたい。

▽教育の構造改革『画一と受身から自立と創造へ』(平成15年)

文部科学省は、「画一と受身から自立と創造へ」を理念とした教育の構造改革について示した。その概要は、分かりやすく下記の4つで示し、教育の構造改革に迫ろうとした。

1.「個性」と「能力」の尊重:「知の時代」の確かな学力の向上には、習熟度別指導、少人数指導、発展的な学習などを取り入れ、画一的な方法を改める。総合的な学習の時間を創設する。

2.「社会性」と「国際性」の涵養:道徳教育、伝統文化に関する教育の充実、キャリア教育の推進や英語教育の充実を図る。

3.「選択」と「多様性」の重視:小・中学校の選択の自由の拡大、高校の学区制自由化、中高一貫教育など新しいタイプの学校の設置や外部人材の活用による学校の活性化をはかる。

4.「公開」と「評価」の推進:学校の説明責任を果たす学校評価と情報提供の推進を図る。教職員のやる気と能力に応じた処遇を実施するための教職員の新しい評価システムを構築する。

▽中教審『新しい時代の義務教育を創造する(答申)』(平成17年)

わが国の義務教育の改革について答申、その主な内容は下記のものである。

1.今後の時代を、変革、混迷、国際競争の激化の時代と想定する。

2.今後の新しい義務教育の姿を、「学校力」を強化し、「教師力」を強化し、そのことによって、子どもの「人間力」を育成する。

3.義務教育の質の向上のための「国家戦略」として、(1)教育の目標を明確にして、結果を検証し、質を保障する。(2)教師に対する揺るぎない信頼を確立する。(3)地方・学校の主体性と創意工夫で教育の質を高める。(4)確固とした教育条件を整備する。

この2つの施策、答申から足早に進められた教育改革の枠組みが見えてくる。

◯教育の「目標・内容・仕組み」を柱に進められる改革

近年の教育改革の動向を、「目的や目標をはっきりさせる」「教育内容を改善する」「教育を進める仕組み・構造を改革する」の3点からみると分かりやすい。

▽より目標をはっきりさせるために

新学習指導要領が告示され、その全面実施への準備期間に入った。今次の改訂では、その「前文」で教育基本法の第一条および第二条に示した教育の目的と目標を挙げている。さらに、第2章で、各教科の目標および各学年の目標をより明確に示し、各学年の内容を「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力」等に分けて示している。このことは、日々の授業やさまざまな教育活動に目標を明確にして取り組むことの重要性を示している。

教育基本法は18年に改正され、第二条に、新たに教育の目標が示された。続いて翌年に、学校教育法が改正され、義務教育の目標(第二十一条)および各校種ごとの目標が明記された。学校経営にあたっては当然と思える、「目標を明確にする」ことを再認識する重要性を示していると考えたい。

したがって、校長の指導で教育目標を具体的に明確にし、指導計画の作成に当たっては、目標を児童・生徒の発達段階や実態等を踏まえ、各教科等の目標に照らして適切に設定するよう指導したい。