校長のパフォーマンス(79)女性管理職への期待

eye-catch_1024-768_takashina-performance教育創造研究センター所長 髙階玲治

今年4月、アベノミクスの「成長戦略」に「女性が輝く日本」がみられた。その内容は、就業率の向上や育児休業期間の延長などがあるが、さらに指導力地位に占める女性の割合の向上がある。

わが国の女性の社会進出の低さは驚くほどで、企業の取締役の女性の比率はわずか1・4%程度で、北欧の25%以上に比べると格段に低い。国会議員の割合も極めて低い。

学校はどうか。小学校が最も多いが、校長と教頭でおおよそ各25%程度、ここ数年あまり変わっていない。ただ、教員の割合は女性が65%(中学42%、高校30%)で、将来的に女性管理職は5割を超えてもよいであろう。

しかし、企業等を考えると女性管理職は極めて少ないことは確かで、そのことでギンガ・トーゲルの『女性が管理職になったら読む本』(日本経済新聞出版社、2016)は興味深い。トーゲルはスイスのビジネススクールの教授であるが、日本に来て驚いたのは「日本の女性の多くは、管理職になりたがらない」ということだったという。

ヨーロッパやアジア、中東、アメリカなどを回ると、どの国も優秀な女性たちの多くは「リーダーになりたい」「より大きな責任を担いたい」と願っているという。

実はトーゲルは、さまざまなデータから「社会が求める変革型リーダーシップ」に女性が向いている、と考えている。その変革型リーダーシップが求められるのは、「信頼」「モチベーション」「刺激」「コーチング」だという。

そこで女性が、その特質を生かすことでリーダーシップを発揮すべきだという。そして、男性にはない女性の特質として、「優しい」「周囲への気遣い」「友好的」「手助けを惜しまない」を挙げている。

しかし、リーダーシップの基本は男性や女性の区別はないのではないか。リーダーの役割において最も重要なのは「進むべき方向を示すこと」「それに向けて人を動かすこと」である。

そこでトーゲルは、さらに6つの課題を挙げ、意識して行動を変えることが重要だと指摘している。

その6つの課題とは、(1)ビジョンや戦略を語る力(2)ネットワークを構築し活用する力(3)キャリア移行のマネジメント(4)積極性や自信、上司との付き合い方(5)健全に関心を集める力(6)他者に影響を与える力――である。

リーダーになれば男性のように振る舞わないといけない、と考えるのは全くの誤解で、女性自身の意識や行動を自ら制限する「無意識のバイアス」を払底すべきだという。管理職になる前から読みたい本である。

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