子どもの貧困と学校給食(8)中学校給食実施の自治体間格差

eye-catch_1024-768_gan跡見学園女子大学教授 鳫咲子

学校給食には、「完全給食(ミルク、おかず、主食)」「補食給食(ミルクとおかずのみ)」「ミルク給食(ミルクのみ)」の3種類がある。公立小学校では、99.6%(人数比)の子どもたちが主食・おかず・ミルクのそろった給食を食べている。しかし、公立中学校の完全給食実施率は82.4%で、残り約2割は未実施である。全く給食がない生徒が約37万人、ミルク給食の生徒が約18万人、補食給食の生徒が約1万人という状況である。

公立中学校の完全給食未実施率全国第1位は神奈川県で、81%である。神奈川県以外では、近畿地方の各県と高知・広島・佐賀各県の未実施率が30%以上と高く、他の県と大きな差がある。未実施率の高い県の中でも、市町村または学校ごとに完全給食、ミルク給食、給食なしと実施状況が異なっている。

昭和30年代は、公立小・中学校の給食施設整備に関する国庫補助ができ、39年には、共同調理場建設に対する国庫補助制度がつくられた。中学校の完全給食実施率は、39年の14.9%から48年の52.5%まで、10年間で40%近く上昇した。近年、首長の選挙公約に掲げられることも増え、中学校の完全給食実施率が再上昇している。

比較的財政力が豊かな政令指定都市でも、中学の完全給食を行っていない場合がある。昭和40年代に中学校給食を始めた千葉市・さいたま市・仙台市・福岡市以外の政令市では、「急増する生徒の対応に追われ、中学校給食には手が回らなかった」と言われている。

完全給食実施前の大阪市、北九州市、川崎市の調査では、完全給食が必要という意見が、教職員では2、3割にとどまり、6、7割が給食実施に反対の意見だったが、保護者は、約8割が完全給食実施を必要としていた。

中学生自身(大阪市・北九州市)はその中間で、必要・不要の意見が4割くらいずつであった。教職員が完全給食実施に積極的になれない理由としては、業務負担の増加、給食費滞納への対応の問題が挙げられている。

川崎市の子どもの昼食の希望は、家庭弁当が約半数、「小学校のような給食」が2、3割だった。子ども自身にとっては、「準備や後片付けが大変」なことと、「嫌いな物を食べなければならない」ことが、給食の課題として挙げられている。他方、給食の良い点として、子どもたちは「献立に変化があり、いろいろなものがバランス良く食べられる」「温かいものが食べられる」「好き嫌いをなくすきっかけとなる」を挙げている。

(参照PDF:完全給食実施のニーズ)


参考資料
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