クオリティ・スクールを目指す(112)教育を創る力への信頼

eye-catch_1024-768_takashina-school教育創造研究センター所長 髙階玲治

教師一人ひとりの「夢」を大切に

東日本大震災から6年半過ぎた。しかし、東京電力の原発事故の影響は大きく、近隣の小学校17校のうち元の校舎で再開できたのはわずか2校のみという。

『初等教育資料』9月号に福島市立三河台小学校の佐藤哲校長が、被災地の思いを強く持ちながら、教育課程実施への自校の事例を発表している。その中に移行期である次年度の教育課程編成に向けて教職員による「夢を語る会」の開催があって、興味深い。

実のところ、例えば県教委等や各学校の経営方針をみても、次期学習指導要領の基づく学力の3つの柱や「主体的・対話的で深い学び」を中心に据えていてほとんど変わらない。

そうした事例の多い中で、教職員の思いを具体的に述べている三河台小のレポートは、教師個々が今後の教育にどのような思いを持っているかを知る上で興味深いのである。

教師個々はどんな夢を語ったか。次はその一部であるという。

・単元中に振り返りの時間を確保し、「知識及び技能」の定着・確認ができるようにしたい

・時数の増減に柔軟に対応できるシステムをつくり出せないか

・縦割り班の充実を図り、子供たちの社会性を育みたい

・たっぷりと遊ばせ、さまざまな体験をさせることで、思いやりの心の育成や体力の向上等を図っていきたい

・低学年に英語遊びを取り入れてはどうか

・「考え、議論する道徳」へ向けた取り組みを進めていきたい

このような「夢」を生かして次年度の教育課程編成に向けた検討事項を次のように挙げている。その一部である。

・2時間連続の授業や探究の過程を振り返る場の設定など、意図的・弾力的な単元構想の創造

・清掃や「なかよしタイム」における縦割り班活動の充実

・表現力だけでなくコミュニケーション能力の育成を指向した「わくわくショータイム」等の改善

・タブレット型端末を活用した授業の実践と累積

・物を大切にする心の育成、ボランティア活動や係活動、当番活動の充実

以上のようなものである。

実は、このような教育課程編成に向けた手立ては、学校の経営ビジョンに教職員の参画を促す全員経営の姿が読み取れるのである。

その基底には、個々の教職員の学年等の職務に応じた多様で自発的な教育活動の取り組みがある。その個々の思いが「夢」の形で提示され、それを学校全体が共有することで、より豊かな形で教育活動に生かされていく。そこにより大きな夢の実現がみられるようになるのではないかと考える。