学校経営を効果的に~「学習する組織」の理論でやってみよう(5)チーム学習と共創的対話

eye-catch_1024-768_yonezawa_fin横浜国立大学教授 米澤 利明

「強いチームには訳がある」。

かつてビートたけし氏の「おまえの不幸には、訳がある」というギャグが一世を風靡したことがあった。

これはシステム思考の本質を言い当てている。子供たちに「深い思考力」を育成することを実現している「成果の上がる学校」にも、必ず訳がある。では、どんな訳なのか? しかも、個別の特別な訳ではなく、どの学校にも共通しているような訳はあるのか?

ピーター・M・センゲは、『学習する組織』(英知出版、2011)の中で、機能する組織には、必ず「チーム学習」が存在すると指摘する。「チーム学習」とは、「メンバーが望んでいる成果を生み出すために、一致協力してチームの能力を伸ばしていくプロセス」をいう。

これまで学校では、チームという意識が希薄でも日々の教育活動が可能であった。今でも多くの学校の場合、教育活動は教師個人個人の活動(いわば個業)の集合体となっていないだろうか。教師は一人で教室に入り、ドアを閉め、一人で授業を行う。教科等の学習だけでなく、学級経営も一人で任され、一人で指導している。そこには、組織としてのチーム学習はない。

これまで学校が個業中心で運営できたのは、主に教師一人一人の個性と能力、努力と情熱等に支えられてきたと言ってもいいだろう。

しかし、それでは、学校は変わっていくことはできない。今こそ学校は、職員間の無関心や相互不干渉な関係などを終わりにして、お互いが学び合う関係をつくるように、組織として取り組むことが求められているのである。

センゲは、「チーム学習」の質を高めるために、2つの重要性を指摘する。1つは「対話」を活性化することであり、もう1つは「合致(アラインメント)」の状態をつくることである。

「対話」活性化のためのスキルとして、ディスカッションとダイアログの2つを挙げている。

ディスカッションは、パーカッションなどと同じ語源で、いわば言葉のキャッチボール、響き合いであるのに対し、ダイアログは、ギリシャ語の「ディアロゴス」が語源で、言葉の意味を通して新たな理解を生み出すことである。

したがって、ダイアログは、自己内対話も含め深い思考につながるといえる。この2つのタイプの対話を通して、教師同士が学び合う関係性をつくっていくことができるのである。

もう1つの「合致」。これは「同意(アグリーメント)」や「合意(コンセンサス)」ではない。もちろん友情でもない。

共有ビジョンへの一致協力の度合いを示す、いわば「志のベクトル」であり、「一緒に学習する意欲」と言ってもいいかもしれない。

チームでこの「合致」の状況をつくることが大事なのである。