子どもの貧困と学校給食(9)中学校給食完全実施のハードルは何か

eye-catch_1024-768_gan跡見学園女子大学教授 鳫咲子

大阪市と北九州市の調査では、中学生自身が完全給食実施に賛成する理由として、「家庭での弁当作りの負担が軽減される」と挙げる割合は、保護者や教職員よりも高い。子どもは、家庭で忙しい親が弁当を作ってくれているのを知っている。

神戸市の調査では、保護者のおよそ75%が学校給食派だが、教職員の学校給食派は17%にとどまり、家庭弁当派が81%を占める。しかし、男性教職員と女性教職員では、支持率が8ポイント程度異なり、学校給食派が多いのは女性教職員である。

表1
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保護者でも、男性と女性では12ポイント程度異なり、学校給食派が多いのは女性保護者である(表1)。さらに、保護者では、小学生以下のきょうだいがいる場合や、家事専業より就業している場合に学校給食派が多くなっている。多忙な女性ほど学校給食の意義を感じているといえるだろう。

神戸市の調査では、弁当と給食の選択制を実施した場合どちらを選ぶかを保護者に聞いている。給食について、「小学校のような給食」か「業者による弁当給食(箱弁)」の2種類を聞いている。

「小学校のような給食」では、おおむね各学校内に給食調理施設があり、調理後食べるまでの時間が短く、温かい物が冷めない、出来たてを食べられる。

「業者による弁当給食(箱弁)」は、民間事業者の施設で調理された給食が、あらかじめ一人分ずつ盛り付けられて各校に配送されるので、配膳は簡単だが量の調整はできない。

「小学校のような給食」の場合、6割以上の保護者が「給食」を選択するのに対し、「業者弁当による給食」の場合は、「給食」選択は15%に減少し、7割の家庭が「家庭弁当を持参」を選択している。

神戸市の調査では、学校給食実施の学校教育にとってのプラス面は、教職員では、「弁当を持参しない生徒にもバランスのよい食事提供」「生徒の健康増進」が半数以上の高い回答率だった。一方、「給食を利用し教科学習を深める」「食育上の効果」は4分の1以下だった。

教職員は、学校給食実施にはさまざまな課題があると感じる一方で、生徒の生活習慣で心配なこととして、「就寝時間の遅さ」「偏食」「睡眠不足」「欠食」を挙げている。このうち、「偏食」「欠食」の問題は、学校給食と密接に関係する。

教職員は、弁当を持参しない生徒はバランスのよい食事が取れていないことに気付いている。しかし、多忙な業務の中、給食費の徴収・給食指導など、給食に関する新たな負担が増えることに積極的になれない現実がある。