子どもの貧困と学校給食(10)給食費無料化に向けて

eye-catch_1024-768_gan跡見学園女子大学教授 鳫咲子

平成28年3月、政府の経済財政諮問会議の4人の民間委員は、子ども・子育て世帯の支援拡充として、給食費の無料化の検討を提案した。無料化には、年間5120億円が必要とも試算されていた(表)。

27年の調査で、給食費などの支援を行う就学援助とは別に、小・中学校の給食費の補助制度を設けている自治体は全国の約2割、199団体あった。また、その3分の1は、26・27年度から補助を開始している。

表
表:給食費無料化に必要な財源の試算

自治体の給食費補助の内容は、小・中学生全員を対象とした一部補助が84団体、全員対象の全額補助が45団体、子どもが多い多子世帯への補助が40団体だった。市区町村別では、半額以上補助している自治体は町35、村25、市4で、全額補助の自治体は町24、村18、市2。補助制度は、自治体の規模が小さい町や村に多い。

就学援助制度は、東京や大阪などでは、4人に1人の子どもが支援を受けるほどである。しかし、規模が小さな町や村では、申請して支援を受ける就学援助制度は、都市部と比べて、あまり活用されていない。

小さな自治体では、就学援助による給食費支援は支援を受けている子どもが特定されやすいことなどから、子ども全員の給食費を無料にする方が地域の理解を得られやすい。

現代の日本において、子どもが受ける教育ないし学歴は、失業・貧困に陥るリスク等に最も大きい影響を持ち、適切な教育を受けていることが、その後の人生において最大の生活保障として機能する。

その意味で教育は「人生前半の社会保障」の最も重要な要素といわれる。同様に、十分に栄養が摂れず、その後の健康な生活に関わるような状況から子どもを守るために学校給食を行うことは、全ての子どもに食事を確保するという点で、広い意味での社会保障といえる。

現金給付だけでなく、食事という現物を支給する給食も、子どもの貧困に対して有効な制度である。今日においても、なお経済的な理由によって生じる子どもの食生活の格差は大きく、学校給食という公共食には、その格差を縮小する機能がある。

給食無料化の費用は、子どもを選別することなく、全ての子どもの食のセーフティネットを確保するための費用であり、社会全体で負担すべきもので、バラマキ政策であるという批判はあたらない。

既に子どもの医療費助成を行っている自治体は多いので、給食の無料化の実現可能性もあると思う。

(おわり)