本と人との「知」の化学反応~実践ビブリオバトル~(1)ビブリオバトルとは

eye-catch_1024-768_biblio-battle平成19年に大学のゼミナールの中で誕生したビブリオバトルは、10年の間に多くの愛好者を集め、コミュニティ間の交流のみならず、書店や図書館などでの大規模なイベントが開催されるまでに成長してきました。それに伴って、教育の現場でもその名前を見聞きすることが多くなってきました。

28年6月には、子どもの未来社から『読書とコミュニケーション ビブリオバトル実践集 小学校・中学校・高校』が発刊され、授業への導入事例が数多く紹介されたことから「自分たちのクラスでも」と考える方が増えているようです。

ビブリオバトルのルールはとてもシンプルです。

(1)発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる
(2)順番に1人5分間で本を紹介する
(3)それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分間行う
(4)全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準に各参加者1票で投票を行い、最多票を集めたものを「チャンプ本」とする

実際には、それぞれの項目に若干の補足説明が入りますが、基本的にはこの4項目で構成されます。詳しくはビブリオバトル普及委員会公式ウェブページ(http://www.bibliobattle.jp/)をご覧ください。

ビブリオバトルは、聴衆の前で決められた時間話すため、よくスピーチと勘違いされます。教育の現場でも「ビブリオバトルをスピーチの練習に」と考える方が少なからずおられるようです。しかしながらスピーチとビブリオバトルには本質的な違いがあります。

一般的にスピーチは、事前に十分な準備をした上で本番に臨みます。発表のための原稿を用意して、うまく話せるように繰り返し練習します。そして、話の構成や表現方法が主な評価の対象となります。このように表現力を重視するスピーチに対して、ビブリオバトルでは、その場におけるコミュニケーションが重視されます。具体的には、聴衆の反応を見て説明を補足したり、他者の発表内容に合わせてアドリブを入れたりすることが求められます。

また、単に本について話すだけではなく、▽参加者が興味を持ちそうな本を探す▽他者の発表について有意義な議論をする▽提示された選択肢の中から自分が一番良いと思うものを1つだけ選ぶ▽終了後にゲーム内容を振り返る――といった活動も、本質的に重要な要素である点を強調する必要があります。

このような性質から、ビブリオバトルは国語の授業だけではなく、さまざまな教育活動への導入が試みられているのです。

須藤秀紹(室蘭工業大学准教授)

※本連載は教育現場でのビブリオバトルの実践者らが1人2回ずつ担当して寄稿する。