本と人との「知」の化学反応~実践ビブリオバトル~(2)学校におけるビブリオバトルの教育効果

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ビブリオバトルは、自分が読んで面白いと思った本を他者に薦め、それを聴いた人たちのうち、どれだけ多くの人がその本を読みたくなったかを競うゲームです。ゲームの構造上、読書促進やプレゼンテーション能力の向上を目的として、教育の場に導入されることが多いようです。しかしながら、ビブリオバトルの持つ教育効果はそれだけではありません。今回は、それら以外の教育効果について紹介します。

第1に、ファシリテート能力です。授業にビブリオバトルを導入する場合、4~5人の班ごとに島を作って実施するのが一般的です(ワークショップ型)。最初は教員が司会者として全体をコントロールしますが、慣れてきたら、それぞれの班の司会を子供たちに任せるのが良いでしょう。

ビブリオバトル世界大会2017の参加者たち
ビブリオバトル世界大会2017の参加者たち

司会の主な役割は、ディスカッションの進行管理です。ビブリオバトルの公式ルールには、ディスカッション時間は「全参加者がその場が楽しい場となるように配慮する」と明記されています。参加者全員の立場を推し量りつつ、楽しい議論になるように工夫することが、子供たちにとって良いトレーニングになります。

第2に、企画運営能力です。「各班の勝者がクラス全員の前で戦う」といったイベント型のビブリオバトルも学習の機会として利用できます。例えば、会場設営や運営といったイベント当日の段取りはもちろん、情報発信や広報活動までを含めた企画全体を教材とすることで、子供たちに主体的にイベントに関わらせるという学習活動が行われています。総合的な学習の時間や、高校の情報科の題材として有効であると考えられます。

第3に語学学習が挙げられます。私たちの大学では、留学生のための日本語授業(中級クラス以上)にビブリオバトルを取り入れています。留学生の多くが、自国の文化について知ってもらいたいという気持ちから、出身国の伝統的な物語や文化について書かれた本を紹介しています。この「知ってもらいたい」という思いがモチベーションアップにつながり、実践的な語学力の向上に効果を上げています。この取り組みが広がり、現在では、日本語を学ぶ学生のための「ビブリオバトル世界大会」が毎年開催されています。

ビブリオバトルの教育効果を引き出す手法については、さまざまな書籍で紹介されています。これから導入を考えている人には『マンガでわかるビブリオバトルに挑戦!』(さ・え・ら書房)、『ビブリオバトルハンドブック』『読書とコミュニケーション ビブリオバトル実践集 小学校・中学校・高校』(いずれも子どもの未来社)などが参考になるはずです。

須藤秀紹(室蘭工業大学准教授)

※本連載は教育現場でのビブリオバトルの実践者らが1人2回ずつ担当して寄稿する。

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