教員のワーク・ライフ・バランス ― 制度を変えなくてもできること ―(1)教頭の月残業37%減

eye-catch_1024-768_sawata先生の幸せ研究所代表 澤田真由美

夏休みから継続支援を始めた大阪府高槻市立北大冠小学校では、1カ月目の成果として教頭の月残業時間が37%減、その他の教職員は平均9%減。「土日出勤はほとんどなくなった」という声も上がっている。同小学校では特別な人的予算はつけておらず、教職員が日々の意識とやり方を変えたことで、このような成果を出した。

定時退勤日を最近始めたという学校長や教育委員会から、相談を受けることがよくある。相談内容はほとんどが、「業務量が減ったわけではないので、持ち帰り仕事をしているだけ」「教材研究したいと言っているのを、無理に帰らせるのは忍びない」。つまり定時退勤日が、ただの飾りになってしまっているという悩みだ。

現場の教職員には、定時退勤日が誤解されて伝わっていることが多いようだ。

おそらく設定者は「日々を効率化して早く帰れるようになってほしい」という願いを込めているのだが、現場に届いたときには、「その日だけ無理をして帰る」「翌日に回すだけ」ということになってしまっている。

定時退勤日を始めるのであれば、業務改善と意識改革とセットにしていくことが必須だ。

ある教育委員会が学校の事務作業を引き取ったら、生まれた時間で先生方が別の新しい仕事を増やしてしまい、結局、勤務時間の削減につながらなかったという例をみた。

多くの学校関係者が働き方の見直しに消極的な理由のひとつに、「手を抜くことになるのでは」「教育の質を落とすのでは」という心配がある。

しかしながら、学校の業務量はすでにパンパンで、今のままで質を保つ方が困難だ。「担任を飛び越えて校長室に来る保護者の苦情が年々増えている」とは、ある校長のぼやきだ。

教員も人間なので、ゆとりがあるときとないときでは、同じやんちゃへの対応も違ってくる。

小・中学校の先生へのアンケートでは、「学級崩壊と多忙は関係している」94%、「多忙により叱る回数が増える」96%、「多忙により、ていねいにステップを踏んで接するべき時にできない」93%(2017年・先生の幸せ研究所調べ)だった。

先生のゆとりは、子どもの輝きに直結している。教員の多忙を解消することは、直接的に子どもの利益に繋がるので、ぜひ自信を持って働き方の見直しに取り掛かっていただきたい。

働き方の見直しや、ワーク・ライフ・バランスとは、無駄な残業をなくし、仕事でも私生活でも、大切なことを大切にすることだ。必要なことに必要な時間を使い、仕事と私生活の相乗効果を生み、教育の質と人生の質を上げることだ。

この連載では、学校専門ワーク・ライフ・バランスコンサルタントとして、私が現場と関わっていることを中心に、実際の働き方見直しのヒントとなる内容を発信していきたい。

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学校専門ワーク・ライフ・バランスコンサルタントとして、学校や教育委員会のコンサルティング(継続支援)や、全国各地で研修・講演を行っている。また、星槎大学の教員免許更新講習で、教員のためのワーク・ライフ・バランス講座などを担当。東京・大阪で合計約10年、小学校教員経験がある。