本と人との「知」の化学反応~実践ビブリオバトル~(4)生涯学習としてのビブリオバトル

eye-catch_1024-768_biblio-battle 大学生から始まったビブリオバトルの取り組みが高校に広がり、現在、中学校にも広がっている。その要因は、ビブリオバトルが教科書の教材や文科省の「読書活動の推進」のツールとして取り上げられたのが大きいだろう。教育活動の中で注目を浴びているビブリオバトル。これからの課題は、ビブリオバトルを生涯学習の一環として、どう楽しんでいけるかだ。

例えば埼玉県では、平成26年から県教委主催で「彩の国高校生ビブリオバトル」が始まった。26年の出場者は31人。ところが今年の11月19日に「さいたま市民会館うらわ」で行われる27年の大会では、46人もの高校生が参加した。ビブリオバトルがそれだけ、各高校に浸透してきた証である。

ビブリオバトルを日常的に楽しめる環境を
ビブリオバトルを日常的に楽しめる環境を

同じ26年には、同県図書館協会が主催する「図書館と県民のつどい」の中で、中・高校生ビブリオバトルを始めた。同会は、学校図書館、公共図書館、大学図書館、県立図書館と県民が一緒に作る図書館まつりで、18年から毎年開催されている。

そこで、中学生と高校生のビブリオバトルを開催しようとなったのだ。最初はビブリオバトルを積極的に行っている自治体に声を掛け、中学生バトラーを集めたが、28年からは同協会が市町村教委に通知を出し、県民の日に中学生対象の大会を開催。予選会を行うほどになった。今年度の同会は、12月17日に、桶川市のさいたま文学館を会場に開催される。

ビブリオバトルを経験した生徒から、「大学生になってもビブリオバトルに挑戦したい」という声が上がるようになった。今まで同県では、大学生ビブリオバトルの地区決選が開催されていなかったが、今年から聖学院大学が主催者として手を挙げ、地区決選が行われるようになった。

これで、中・高・大学とつながって、ビブリオバトルを楽しめるようになった。自分の進学した大学でビブリオバトルをやっていなくても、大学生として県内の大学ビブリオバトルに参加し、年に1回開催される全国大会である「大学生ビブリオバトル首都決戦」に進むことができるようになったのだ。

今回は、大会を通してイベント型のビブリオバトルを楽しむ取り組みを紹介したが、ビブリオバトルは大きな大会で勝ち上がるのが大切なのではなく、「自分が面白いと思った本を、誰かに紹介したい」というコンセプトの書評ゲームだ。

学校でビブリオバトルに出会った子供たちが、生涯を通して読書を楽しめる大人となるように、地域の図書館やカフェなどで開催されるビブリオバトルにつなげていくのも、私たち読書に関わる大人の使命である。

木下通子(埼玉県立春日部女子高校主任司書)

※本連載は教育現場でのビブリオバトルの実践者らが1人2回ずつ担当して寄稿する。

関連記事