目指せ管理職 学校管理職合格講座 IV(25)校長の対応、判断

eye-catch_1024-768_kyouikukanri教育新聞 教育管理職研究会編

部活動、保護者とのギャップ
〇休日等の部活動の在り方で保護者と齟齬(そご)が

4月になると、人事異動がある。前年度末の3月31日まで、春休みの全てを使い、部活指導をしていた教員が他校へ転任した。保護者は、それまで土・日・祝日返上で熱血的な指導をしてくれた教員を絶対的に支持していた。保護者たちも休日には当番で生徒や顧問に差し入れをし、練習試合には生徒を自家用車で送り迎えをするなど熱心であった。

新しく赴任した校長は、その部活顧問の後任をどうしようかと思案に暮れた。その競技に精通した教員がいないばかりか、学級減に伴う人員減で担当できる教員の余裕がない。やむなく常勤講師に顧問をお願いした。

その講師は小学校での講師経験しかなく、その競技の経験もなかったが、現に参加生徒がいるかぎり、休・廃部するなどの他の選択肢はあり得ない。来年の教員採用試験に向けた準備もあるので、「土・日のどちらかでよいから、部活をやっていただけないか」とお願いせざるを得なかったのである。

〇地教委を巻き込んで紛糾する

4月も半ばになり、部活動保護者会が開かれた。校長は全体会で、「部活動は教育課程外であり、それぞれの部活顧問は義務としてではなく、生徒の幸せのために自分の生活を犠牲にして土・日の部活指導に当たっている。手当も、ほとんど無いに等しい状態である。保護者の皆さんにも、その状況をぜひご理解いただきたい」と説明した。その後、各部活動ごとの分科会が行われた。当該講師が担当する部活では、「今までの顧問は、毎土・日、部活動を行っていた。今までは保護者が主体となって行っていた夜の社会体育としての活動(参加者は部活と同じ)にも、前の顧問の先生は参加して、指導してくれた。なぜ、できないのか」という質問が出た。本人は、「限られた条件の中でできる限りの部活の充実を図るというのが校長の方針」と丁寧にその旨を答えた。

数日後、地教委に「今度の校長は部活動のやる気が無いから、辞めさせろ」という手紙が届いた。地教委からこの間の経緯について問い合わせがあり、これまでの内容を報告し、理解を得た。校長として、生徒、保護者に対し部活動について学校の方針をしっかりと理解してもらうことが必要と考え、手紙の内容からその講師が担当している部活動であることは明白だったので、臨時にその部活動だけの保護者会を再度開くこととした。

〇校長の信条を丁寧に説明

保護者は、ほぼ全員集まった。校長、教頭、部活顧問が対応し、地教委にも校長室で待機してもらった。保護者としては、「今までどおり、土・日も祝日も夏休みもほとんど休み無く部活動を行う」という言質を取りたかったので、机の上にボイスレコーダーを置き、昨年度までのように対応してほしいと迫ってきた。校長は、部活動の教育的効果を認めつつも、教育課程上の部活動の位置付け、顧問の立場、講師の立場、時間外勤務命令の制約などを繰り返し説明した。

部活顧問をやっていた時代の自分と、多くの職員の生活を保証すべき校長としての自分とは一線を画すことに徹し、言葉を選んで対応した。絶対に安請け合いしないことと、当初の方針を曲げないことは保護者会の前から決めていた。何時間かかろうと、同じ対応をするつもりでいたが、90分もすると保護者も、自身の思いの丈を聞いてくれたと感じたのか、やがて散会となった。

後日、その部活動が県大会に出場が決まったとき、休日であったが、会場まで駆けつけ保護者と一緒に応援したのは言うまでもない。あれほど執ように「土・日の練習は、生徒のためになる」と訴えていた保護者は、自身の子供が部活動を引退すると同時に全く部活動について言わなくなった。

〇学校の方針の理解に努力して

生徒の心身の成長に部活動は大きな役割を果たしている。それ故に、校長は日頃から、部活動に対する学校の方針を、生徒はもちろん保護者にも共通に理解、認識してもらう努力が必要である。部活動への地域人材の活用と運営の仕組み・ルールの徹底等である。また、自校の生徒数や希望、個々の教職員の状況等を踏まえ、どのような部活動が成立するのか、どのような場合(部への希望者数、担当教員の不在)廃部とするのか、廃部までの経過措置をどうするのか、などである。

さらに校長の対応は、機を逸してはならないことが大事である。早急な対応、正確で細かな把握、その上での判断等を常に念頭に置きたい。

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