本と人との「知」の化学反応~実践ビブリオバトル~(5) 地域の読書活動推進での活用

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5分間でお気に入りの本を紹介し、観戦者の投票で一番読みたくなった本を決めるビブリオバトルは、地域全体で行う読書活動推進にも活用されている。

「子ども読書のまち宣言」を行った愛知県一宮市。ここでは、同市立中央図書館が中心となって、小学生を図書館に呼び込む「子ども司書講座」と、図書館職員が小学校に出向く「出張ビブリオバトル」という、双方向の取り組みが行われている。

子ども司書講座でのビブリオバトル
子ども司書講座でのビブリオバトル

平成27年から始まった「子ども司書講座」は、地域の小学生が半年間、計6回の司書体験をするというものである。筆者はその中で、ビブリオバトルを体験する回の講師を3年間にわたって担当している。

この講座で重視しているのは、話す力や聞く力などを身に付けることよりも、本を読んで感じたことを話す中で、「楽しい」と思う体験ができるかである。

楽しさを感じた子供は「発表することで自分の好きな本が分かった」と自己理解を深めながら、「みんなの発表した本をぜひ読んでみたい」と、他の発表に刺激を受けながら自分の興味関心をさらに広げる。

さらに、子ども司書たちはビブリオバトルの活用について自ら考えるようになる。

「一宮市の図書館や学校の授業に、ビブリオバトルを取り入れればよい」「本の面白さ、楽しさなどを伝えれば、みんなが楽しくやれると思う」などの提案を文書にまとめる中で、子供たち自身が読書推進を考える機会も設けられている。

もう1つの取り組みである「出張ビブリオバトル」は、図書館職員を市内の小学校に派遣するというものである。

昨年度から今年度にかけて、市内42校のうち11校の小学校に出向き、対象の学年や先生の要望に合わせて、多様な形式でビブリオバトルの紹介や導入を進めている。

同図書館司書の西村飛俊氏は「出張ビブリオバトルでは普段関わりのない先生方とも多く接する機会があり、図書館の取り組みを知ってもらえる。たくさんの本があるのが図書館。子供たちにはビブリオバトルを通して本への関心を広げてもらい、よりたくさんの本に触れてもらいたい」と語る。

上記の2つの活動に加えて、同図書館は地域の世代間交流の場をつくることも積極的に行っている。小・中学生対象のビブリオバトルや、誰でも参加・発表が可能なビブリオバトルが開催され、小学生から高齢者まで、地域の人たちが中央図書館に集まっている。

読書活動の地域連携は、時間も労力もかかるが得られるものも大きい。子供の読書活動のさらなる発展には、図書館と学校の地域連携が有効ではないだろうか。

飯島玲生(名古屋大学)

※本連載は教育現場でのビブリオバトルの実践者らが1人2回ずつ担当して寄稿する。

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