教員のワーク・ライフ・バランス ― 制度を変えなくてもできること ―(4)休むことをルールにする

eye-catch_1024-768_sawata先生の幸せ研究所代表 澤田真由美

おすすめアイデアをご紹介する。「月当たり1時間以上の年休取得をルール化」である。

学校に限らずほとんどの職場では、体調不良やよほどのことがなければ休んではいけないと思い込んでいるが、「有給消化と仕事の出来は比例する」とは、あるダイバーシティ経営企業100選の社長の言葉である。周囲の信頼を集める教員Aさんは半日休でリフレッシュし、「その後の仕事のはかどり方やアイデアの出方が違った」と言い、その経験があまりに素晴らしかったので、校内で順番にそうした休みを取得できる動きを作っている。

教員のワーク・ライフ・バランス4学年単位や学校単位の全員で取り組むことがポイントだ。そもそも通院や育児、介護など事情を抱えた人は、このような取り組みをわざわざする前から休みを取っている。そうした人にヒアリングをすると、能力があっても肩身の狭い思いを抱えていることが多く、「再び休んでしまうかも」と考えて積極的になれず、学校全体としてパフォーマンスを落としている。

それではもったいないし、お互い様と言い合える働きやすい職員室にしたい。それには「全員」が休みを取るというルールにすることだ。

具体的には、休暇消化の「達・未達」が分かるシートを職員室に貼り、「みんなで達成しよう!」という雰囲気を作る。1カ月の間に取りやすい日に各自が取ればよい。一般企業で働き方見直しをするときは、3カ月で3日間など単位を「日」にしているのだが、学校はそれがしにくいので、まずは「1時間」にチャレンジしてみるとよい。

たった1時間ではあるが、それまで午後8時まで残業していた人は4時間早く帰らなければならず、朝から頭の使い方が変わる。お手本は、絶対にお迎えに間に合わせるという気迫で朝からフル稼働しているワーキングマザーだ。

さて読者から「業務量が多いから無理」という声が聞こえてきそうだが、私が見る限り時間を意識し少しのやりくりで、月に数時間は捻出できる。どうしても毎月達成できない人がいる場合は、仕事がその人に偏っていないか、スキル不足かなどの要因をみていく必要がある。

もちろん業務量を見直す必要はあるが、まず時間を意識するために、「月1時間休」はおすすめだ。トップダウンで煙たがられている「定時退勤日」よりも、楽しく前向きに取り組める。

「子育て教員が増え、突発で休むので困っている」と管理職から相談を受けることがある。しかし発想を変えていただきたい。これから子育て中の教職員は増加する見込みだ。特別な事情がある人だけが肩身を狭くして休ませてもらう、という職場では働きにくい。休んでもカバーし合えるような職場を目指したい。

いずれは1時間と言わず半日や1日を目指し、属人化(「この人がいないと進まない」など)を減らせると、さらに働きやすい職員室が実現する。

こうしたアイデアに「うちでは難しい」という反応をもらうことがあるが、個々の課題に応じたアレンジが前提であり、方策のヒントになればと思う。