本と人との「知」の化学反応~実践ビブリオバトル~(6)ビブリオバトルの全校活動の意義

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「ビブリオバトル」を全校活動として実施する学校が増えてきている。本稿では2校の取り組みを紹介する中で、全校活動の意義を考えたい。

最初に紹介するのは、岐阜県神戸町立下宮小学校の取り組み。同校では昨年度、1年生から6年生までの全校児童155人が、図書館での活動や国語の授業などを通して、ビブリオバトルを行った。

3年前、当時の校長だった池原秀晃氏は、表現力を育てることを目指して、ビブリオバトルの実施を提案。まずは教職員の理解を深めようと、全教職員でビブリオバトルを実施した。ビブリオバトルを行った教職員は、その教育効果の大きさを実感し、全校で取り組むことを決めた。

全校的な取り組みが評価され、下宮小はBibliobattle of the Year2017優秀賞に選ばれた
全校的な取り組みが評価され、下宮小はBibliobattle of the Year2017優秀賞に選ばれた

その後は、図書委員の児童によるデモンストレーションの実施、クラス内でのビブリオバトルの開催と段階を踏み、「自分の好きな本を紹介したい」という児童の気持ちを少しずつ高めていきながら、導入を進めた。

同校の教務主任の松田紀子氏は「本の紹介の仕方を考え、話す練習をすることで、子供たちの表現力が向上している。児童理解にもつながっており、他教科・他領域の言語活動を充実させることにも役立っている」と、多方面での教育効果を実感している。

次に静岡県富士宮市立井之頭中学校の取り組みを紹介する。富士山の麓に位置し、生徒数14人の同校では、全校生徒による校内ビブリオバトル大会を毎年3回行っている。

少人数教育で育った生徒たちが、自分の意見や思いを仲間に伝えるのを苦手としていることを受けて、平成27年度に前任の中尾欣司校長の提案によって始まった。

その志は28年度から赴任した山下忠男校長に引き継がれ、学校の教育活動の重点として、「質の高い読書活動」を進めるためにビブリオバトルを実施する形式が確立された。

現在は、近隣の井之頭小学校と小中連携の読書推進活動に取り組み、さらなる展開を進めている。ビブリオバトルを通して発表者の人となりを知ることができるため、生徒同士の人間関係を構築していくことにも役立っているという。

全校でのビブリオバトルの活動の最大の意義は、知的活動の基礎となる読書を推進するとともに、本の紹介を通して「思考力」「表現力」「創造力」を育む活動を、学校全体で進められることにある。

そして、全校的な取り組みに至る過程には、推進する教員のリーダーシップに加えて、他の教員の理解がある。

教科指導や課外活動の範囲を超えて、まずはビブリオバトルの教育的効果を教職員間で議論してみてはどうだろうか。

飯島玲生(名古屋大学)

※本連載は教育現場でのビブリオバトルの実践者らが1人2回ずつ担当して寄稿する。