本と人との「知」の化学反応~実践ビブリオバトル~(7) プレゼンスキル向上を目指す授業との連携

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「プレゼン」という言葉が耳に馴染むようになって久しい。ビジネスや研究の場面などでも、TEDの配信を見たり、ハッカソンやアイデアソン、プレゼンコンテストなどに参加したりする機会が大幅に増えた。それに伴い、教育現場においてもプレゼンが導入され、そのスキル向上に学生たちも励むようになった。特に、社会が求める技術者を輩出する高等専門学校では、それが急務となっている。

リベラルアーツ系科目では、論理的思考のトレーニングやシンキングツールの用い方、プレゼンの構成方法、調査方法、資料・ポスターのまとめ方などで、テーマを設定して学習する。

図書館ビブリオバトルコーナーでのチャンプ本展示
図書館ビブリオバトルコーナーでのチャンプ本展示

その一環として、「国語」「日本語表現」の授業で、学年・クラスごとに年4回のビブリオバトルを実施している。さらに、その結果は図書館展示で公開している。

自らの考えを他者に伝えるプレゼンにおいて、話の構成は重要な要素である。「言いたいことはあるけれど、うまく伝わらない」という学生の〝伝わらない問題〟を解決するために、構成を学び、頭の中をスッキリさせることは欠かせない。

しかし、話の構成は伝達するための手法の1つであり、目的ではない。プレゼンの目的は、伝達し〝共有する〟こと、すなわち、他者との〝communicate(分かち合い)〟にある。話の構成の先にある、他者とのコミュニケーションがプレゼンの肝なのである。

それを話し手に求め、本を媒介に生まれるコミュニケーションを軸として展開されるゲームが、ビブリオバトルである。他者との共有や共感は、理論的な学びよりも、実践的な場を数多く踏むことによって、経験として身に付く。その過程において、ビブリオバトルが果たす役割は大きく、手軽に実践できることも魅力的である。

ビブリオバトルでは、自らの考えや思いを他者に伝えれば良いというわけではない。実施すると、「何を話せばよいか分からなくなった」という理由から、3分程で中断してしまう学生が出てくる。その原因は「自身が用意した話しかしない」「他の話し手の話題をうまく取り入れることができない」など、他者意識の欠如にあるようだ。その場でのコミュニケーション不足がアドリブ不足を生み、時間を有効活用できていない状態へとつながってしまう。

また、どれだけ巧みな話術でも、相手に興味を持たせて引きつけることができなければ伝わらない。ビブリオバトルもプレゼンも、他者との共有を目的とする点において、伝えるためのコミュニケーションの努力が重要である。

その練習として、ビブリオバトルの活用はいかがだろうか。

佐藤元紀(高知工業高等専門学校講師)

※本連載は教育現場でのビブリオバトルの実践者らが1人2回ずつ担当して寄稿する。

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