校長のパフォーマンス(81)部活動の栄光と課題

eye-catch_1024-768_takashina-performance教育創造研究センター所長 髙階玲治

いま部活動が大きくゆさぶられている。

中学校教員の勤務時間世界で最長、というOECDの国際比較調査に端を発して、ブラック部活動という汚名までが広がっている。そんな折、大学同期の友人から手紙が届いた。英語の教員として北海道の福島町立福島中学校に赴任した彼は、そこで野球部の監督を命じられたという。50年も昔の話である。

郡部から代表校1校が選ばれるため、代表を勝ち取ることが毎年の課題だった。何よりも親たちの応援がすごかった。中体連の試合になると地域をあげての大漁旗の応援だった。

時間がある限り部活の指導で、暗くなってボールが見えなくなるまで活動した。ただ、3時頃から始めても日の暮れるのは早く、長い時間ではなかったという。一つの部が強くなれば、他の部も強くなるだけでなく、文化的な行事も盛んになり、学校に活気があふれだしてくる。高校入学も増加する。学校には将来の横綱千代の富士(本名、秋元貢)がいた。彼はバスケット部の選手で、陸上がすごく、英語の成績も良かったという。友人は野球部の指導をして自分にも大いに役立つ機会があったと言っている。

部活動の栄光を語る人々は多い。最近も中学校長たちと談話していて、部活動指導の話で盛り上がっていた。

だが、部活動の置かれている状況は厳しいものがある。生徒全員加入や教員全員顧問の問題、一日2時間以上が当たり前の活動など、さらにその結果として教員の一日12時間労働の問題などが浮かびあがって、さまざまな多くの歪みが露呈しはじめている。中教審が働き方改革のための「中間まとめ」を発表しているが、部活動の課題は大きいものがある。

よい改善策が生み出されるであろうか。

何よりも生徒の親や地域関係者の期待が大きい。勝利至上主義が部顧問への圧力となる。土・日曜もない部活動が私生活を犠牲にする。スポーツ庁の最近の調査でも部活動は学校・教員が担ってほしいという保護者の声が4割を超えている。

思うに、部活によって生徒に何を育てたいかが問われないままに、ひたすら指導時間を費やしていないか。他の調査をみると、生徒は必ずしも勝利至上主義を望んではいなかった。むしろ、生徒の望む部活動は楽しく、充実し、自分を伸ばすことではないか。

部活動には、学校の教科指導とは異なった優れた成長の軌跡がある。その成長の軌跡を効果的に育てることが必要なのである。「やり抜く力(GRIT)」を提唱している心理学者のダックワースは「課外活動は重要」と断言している。

課外活動の意義を教師が自覚的に考え指導し、生徒もまた自覚的に能力を身につけようとすることが極めて重要であると考える。活動時間が制限される中で、効果的・合理的な活動を生み出す努力や工夫が必要である。

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