「成長の授業」を創る―菊池実践11の柱―(9)白い黒板

eye-catch_1024-768_kikuchi教育実践研究家(元小学校教員)菊池省三

「白い黒板」とは、子供たちが黒板に自分の意見を書き、チョークで真っ白にするという取り組みである。

「白い黒板」の効果・効能は、以下の三つが考えられる。

一つ目は、子供たちが能動的になることである。

従来の教育は、「黒板は先生が書き使うもの」という考え方であった。黒板は、一斉指導スタイルで知識を教えるために、教育をする教師のものであった。

しかし、「白い黒板」は、子供たちみんなで作り上げていくことにより、「私たちのもの」になる。この違いは大きい。「教わる」モードでは、あまり能動性は発揮されないからだ。「白い黒板」では、子供自身が前に出て、チョークを持ち、自分の意見を書くことになり、きわめて能動的なアクションとなるからである。主体的な学び手となる。

文字、文字、文字で埋め尽くされ、真っ白になった黒板を見ると、みんなで作り上げた達成感が湧き、学級の一体感も生まれる。

m20180109二つ目は、子供たちの自己表現の機会になることである。

一人一人、「学習スタイル」は異なる。積極的に挙手できる子供もいれば、そうでない子供もいる。「白い黒板」は、内気な子供にとっても、安心して自分の意見を発表する機会になる。短い表現でいいのだから、なおさらである。その子供が書く文字が美しかったり、丁寧であったりしたら、そこは「ほめるポイント」となる。

逆に、積極的に発言はするが、文字を書くことに苦手意識を感じている子供もいる。難しい漢字などを使う必要はなく、自分の知っている言葉を使えばいいことなどを伝え、安心感を持たせればいいのである。

教室の中にはいろいろな子供がいるが、全員が安心して自分を表現できるのが「白い黒板」なのだ。

三つ目は、多様性を表現できるということである。

多くの一斉指導型の授業では、「正解は一つ」という枠にはめがちである。しかし、「白い黒板」は、「正解は一つではない」「一人一人、自分なりの答えがあってよい」「いろいろな意見、考え方があるからこそ社会は豊かになれる」ということを、視覚的にも教えてくれる。

出来上がった「白い黒板」を基に教師が振り返りのときに、対照的なコメントを取り上げて、さらに話し合いをさせたり、表面的なコメントを子供たちみんなと掘り下げたりすることで、思考力や想像力・創造力を深める最高の素材としても活用できるのである。