本と人との「知」の化学反応~実践ビブリオバトル~(9)大学生へのビブリオバトルの実践① プレッシャーを与える

eye-catch_1024-768_biblio-battle立派な大学を出ていても日本人は本当にプレゼンテーションが苦手だなあ――。国際協力分野で、国連勤務を含め17年に及ぶ実務の経験から、常々そう痛感していた。そんな折、東京の私大から「学生にプレゼンを教えないか」と声が掛かり、喜んで飛びついたのが11年前だ。

今もまだ試行錯誤は続くものの、毎年何か新しいことに挑戦しており、千葉大学に移ってからはビブリオバトルを授業のメニューに加えた。担当する授業は、週1コマ(90分)×8週で完結する学部向けの「プレゼンテーション入門=バトルを楽しむ」で、より高次の表現系科目であるディベートや交渉論へと学生を導くための入り口といった性格も併せ持つ。副題の「バトル」とは、シネマバトル、ニュース解説バトル、ビブリオバトル、の3つを指す。

ビブリオバトル予選会を兼ねた授業
ビブリオバトル予選会を兼ねた授業

高校までのやり方を繰り返しても意味はないので、私は2つのことを心掛けている。まず、学生に一定のプレッシャーを与え続けることである。例えば時間の厳守に加え、発表場所を教室以外にするというのも非日常の演出に一役買っている。幸い、本学の図書館の1階には、誰もが立ち寄れるプレゼンテーション専用のぜいたくな公的スペースがあり、最後の2コマの授業では学生全員にその場所でのビブリオバトルを課している。

当日の集客のため、事前に広報も行う。今年はバトルの最中に、偶然キャンパス訪問をしていた高校生の団体が訪れてくれた。学生は緊張しただろう。発表の様子は専門の部署(=アカデミック・リンク・センター)が、全員をDVDに撮影・記録しており、後で各自に配布した。自分の発表する姿を生まれて初めて見たという学生も多い。

大学生協/書籍部との協力も学生への刺激になっている。ビブリオバトルに際して個々の学生が選んだ本は、全て書籍部で特別の棚に並べられ、説明付きで販売されるからである。学生にはこうした生協の好意に対し、責任がある旨を伝え、本選びを決しておろそかにしないようにとくぎを刺す。3カ月後、実際に売れた册数はランキングと共に、各自にフィードバックされる。学生としては一種の達成感が味わえる瞬間であろう。

昨年、筆者が中心となって、授業とは別の形で全国大学ビブリオバトルの千葉県予選会を初開催した。驚いたことに、予選を勝ち抜いた本学の女子学生は全国大会に進出。見事にチャンプ本を獲得した。これに勇気付けられ、今年からは前述の最後2コマの授業が全国大会の予選も兼ねるようにしたのである。

大西好宣(千葉大学教授)

※本連載は教育現場でのビブリオバトルの実践者らが1人2回ずつ担当して寄稿する。

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