校長のパフォーマンス(82)学校のスマートワーク

eye-catch_1024-768_takashina-performance教育創造研究センター所長 髙階玲治

2017年は働き方改革元年と言われている。中教審は学校の働き方改革として「中間まとめ」を12月に発表したが、学校は企業の働き方改革から何を学ぶべきであろうか。

わが国の企業にとって極めて重要な課題がある。労働生産性が低いという問題である。例えば、16年の日本の平均労働時間は1713時間。ドイツは1363時間であった。1日8時間労働とすると、日本人は年間44日も多く働く。それなのに日本の1人当たりの国内総生産(GDP)はドイツよりも大幅に低い(日本経済新聞、2017・12・18)。先進国の中で最低水準だという。働き方改革が企業においては切実な課題である。

そこで日経新聞は、多様で柔軟な働き方改革を実現して、生産性向上につなげる市場開拓力を高める動きをスマートワークといい、その分野を四つあげて企業調査を実施した。

その四つの分野とは、(1)人材活用力(2)イノベーション力(3)市場開拓力(4)経営基盤――である。学校が学ぶべきなのは、主に「(1)人材活用力」であろう。その視点として、方針・計画と責任体制、テクノロジーの導入・活用、ダイバーシティー(多様性)の推進、多様で柔軟な働き方の実現、人材の投資、エンゲージ・モチベーション向上、人材の確保・定着をあげている。

このような人材活用を組織的にどう実施しているか、興味深いことであるが、例えば、20代の社員に責任ある仕事を任せてヒット商品を開発したり、仕事と家庭の両立への不安から「管理職になりたくない」と思っている女性社員に対して若手女性管理職が考え方を変える働きかけをしたりしている。

また、自宅やカフェでも仕事ができるテレワークは教員の場合難しいにしても、オープン・イノベーションにつながる兼業や副業の可能性はある。近未来的には人工知能(AI)の導入など、新たな教育環境への対応力が必須の課題になるであろう。

言うまでもなく学校の働き方改革の意義は極めて大きい。それが単純に勤務時間の縮減に終わるのであれば、自己目的化されるだけである。組織的にどう働き方改革を活用するか、スマートワークとして考えるべきである。

今回の、学校の働き方改革の「中間まとめ」等を読み、強く感じたことは、50年前は確かに「自主研修」の時間が保障されていた、という事実であった。各学校が教員の力を結集して授業研究に積極的に取り組んでいた時代である。

その当時と今では、学校の抱える課題は異なるが、学校としての自主研修が保証されることで、教育イノベーションが促進される予感がする。学校全体が明るくなり、教師が余裕を持ちはじめ、それが子供の教育に転化するとき、新たな教育が促進されることは確かである。スマートワークの大切さである。