自分にしかできないスクールリーダーになるために (1)リーダーが変われば、組織は変わる

eye-catch_1024-768_nakatake日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター(株)チームボックス代表取締役 中竹 竜二

「リーダーが変われば組織が変わる」。この言葉は、スポーツの場でコーチングディレクターの立場として、そしてビジネスの場でリーダートレーニングをするときに、冒頭で必ず伝えるメッセージです。

ビジネスやスポーツの世界では「組織はリーダーで変わる」という言葉が頻繁に使われます。社長、監督、コーチの力量や器で組織の結果が決まるという考えです。同感しますが、私がリーダーやコーチを指導するときは、あえて「リーダーが変われば、組織は変わる」という言葉を使うようにしています。両方、似たような言い回しですが、後者の方が上に立つ人間の責任感がより湧くからです。理由はいくつかあります。

一つは、ミラーニューロンの影響です。脳内にある神経細胞の一つで他者の行動を見たときに活性化します。赤ちゃんが笑顔を覚えていく過程は、笑う親を見て真似ることが影響するように、人は見て学びます。

となると、最も組織の中で多くを見られているのはリーダーですから、リーダーの行動が模範的であるべきだというのも至極当然です。言い換えると「口」で伝えるより、「背中」で伝える方が効果的。だから「言ってから、自分がやる」という有言実行型のリーダーのメッセージは伝わりやすいのです。

私たちは過去の出来事にいつまでも悩み囚われがちになりますが、どんなに優れたリーダーであっても過去の事実を変えることはできません。コーチングの世界では「馬を水場まで連れていけるが、水を飲ませることができない」という言葉があるように、どんなに優れたコーチでも他者を完全にコントロールすることはできず、最後の行動は本人に委ねられます。要するに、人は「自分の未来」しかコントロールできないのです。

フランスのサッカー元代表監督のロジェ・ルメール氏は「学ぶことをやめたら教えることをやめなければならない」と若いコーチに言い続けました。上司、コーチ、教師といった指導する側が「最高の教え手」になるには、もしかしたら「最高の学び手」になることが最も近道かもしれません。

部下、選手、児童と日々成長するスピードに負けないよう、教え手自身も競い合うように学び続けることで自然と彼らと目線が揃うでしょう。その背中こそがシンプルかつパワフルな手段なのです。

「リーダーが変われば、組織は変わる」――。今年はこの言葉を胸に「自分が変わる」ことを意識して、誰よりも成長していきましょう。

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〈プロフィール〉

1973年、福岡県生まれ。早大ラグビー蹴球部主将を務め、全国大学選手権で準優勝。卒業後、英国に留学。レスタ―大学大学院社会学修士課程修了。三菱総合研究所等を経て、早大ラグビー蹴球部監督。自律支援型の指導法で大学選手権2連覇などの実績を残す。退任後、日本ラグビー協会初代コーチングディレクター。U20日本代表ヘッドコーチも務め、15年にはワールドラグビーチャンピオンシップで初のトップ10入り。