教員のワーク・ライフ・バランス ― 制度を変えなくてもできること ―(10)答えは私生活にある

eye-catch_1024-768_sawata先生の幸せ研究所代表 澤田真由美

中間まとめでは、「教師が日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、自らの人間性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになるという理念」とあった。働き方改革の本質である。

「ワーク・ライフ・バランス」とは、てんびんではなくシナジー(相乗効果)である。どちらか一方のためにどちらかを犠牲にするものではなく、ワークとライフがお互いに良い影響を与え、両方とも豊かになるものだ。

教員のワーク・ライフ・バランス10教員の働き方見直しと、仕事の質の向上は相いいれないと思われがちだが、二つは両立し得る。それどころか、私生活を大切にすることが仕事の質を上げる。

ライフは表のように、四つの要素からなる。

(1)体を満たす時間 十分な睡眠時間と食事時間である。この時間が充実すると、日中の集中力と活力が湧き、より濃い仕事ができるようになる。

(2)心を満たす時間 一人で過ごしたり、新しい出会いにわくわくしたり、家族や友人と心からリラックスしたり、遊んだりする自由な時間。これによりリフレッシュと人生への高い満足感が得られ、心をフル充電して教壇に立てる。

(3)頭を満たす時間 教員サークルや休日の勉強会、教育書を読むなどの時間。業務としての研修ではなく、自分の時間とお金をわざわざ使う、学びの時間である。

(4)それ以外の生活時間 育児や介護の他に、炊事家事・日常の買い物・自分の通院などの時間。つい後回しにしたり、雑に済ませてしまったりすることが多いのではないだろうか。この時間を丁寧に過ごすことで、生活が整い気持ちが整う。

教員一人一人が(1)~(4)のライフ充実を毎日学校に持ち寄ってきたら、どんな事が起こるか。

私澤田のところには、ライフの充実がワークの充実につながったという声が講演参加者などから届く。

「わが子と平日夜にお風呂に入るようになったら、仕事での子供への声掛けが変わった」

「平日夜の有志の教員サークルは、校内研修で経験したことのないくらい濃い時間だった。校内研修も濃い時間になるような提案をしようと思う」

「異業種交流会で会社経営者と知り合い、話す中で視野が広がり前例踏襲に気が付いた」

こうした声の主も長時間労働に慣れきっていた場合、はじめは帰るときに「やり残しがあるのでは」と不安を感じたという。「それでも翌日仕事は回ったし、睡眠が取れて体が元気なので調子よく仕事ができた」のである。私自身、目いっぱい学校に残っていたころよりも、時間を区切って休んだり外の世界に出たりするようにしてからの方が、教員として何倍も良い仕事ができた経験者である。

教員同士が豊かなライフを持ち寄る学校では、素晴らしい化学反応が起きる。魅力的な先生が増え、学校全体としてもパフォーマンスを高める。こういう働き方に飛び移るには、今の追い風は絶好のチャンスである。

1分1秒でも早く学校を出て、ぜひワークとライフの相乗効果を体験していただければと願う。

(おわり)

関連記事