クオリティ・スクールを目指す(119)エビデンスで教育実践を変える

eye-catch_1024-768_takashina-school教育創造研究センター所長 髙階玲治

状況を洗い出すリーダーシップ

学校の優れた取り組みに学ぶことは多い。

本紙1月29日の対談記事で、平川理恵校長(横浜市立中川西中学校)の経営実践が語られていて興味深い。民間出身の校長である。平川校長によれば、企業もそうだが、学校は生産性が悪すぎるという。何よりも「何を成果とするか」が明確でなく、教職員と「教員とは何か、どういう役割なのか」を話し合ったという。その結果、2つの役割を明確化している。

一つは、生徒一人一人の自己実現を重視すること。一つは、例えば貧困問題など、セーフティネット的な役割について、できないことを線引きすること、である。

そのため4月にAAIテストや学力テスト、知能テストを行い、バッテリーから、例えばオーバーアチーバーやアンダーアチーバーを見いだし、指導に具体化する。QUテストも実施している。

なぜ、このようなテストを実施するのかと言えば、教職員の仕事ぶりが、何の裏打ちもない、勘と経験と度胸、つまり「KKD」で行っているからだという。

それに対して各種テストの結果から、個々の生徒への指導が明らかになってきたという。

それはS=サイエンスが加わったからだとする。つまりは「エビデンス」の活用である。

学校が平川校長の言う「KKD」の状況に埋もれていることは確かであろう。それにもかかわらず、学力等のテスト結果をほとんど活用してこなかった。AAIテストは50年以上も前から作成されていたものである。

さらに、最近毎年のように実施されている全国学力・学習状況調査は、学力のみでなく、生徒への質問紙によって個々の学習や生活の在り方が微細に提示されている。そこから、単に数値的な学力傾向のみでない、学校として取り組むべき教育の課題が明確に見えてくる。宝の山と言えるものである。

しかし、それを分析的に活用し、具体的な指導に生かしている実践例をほとんど聞かない。

最近、エビデンスに基づく実践方略が重要視される機運が生まれているが、「KKD」から早急に脱却することが必須の課題である。

なお、平川校長はさすが民間出身だけあって、学校の「生産性」に注目し、学校の状況を変える手立てを巧みに行っている。従来型の教育目標設定とは異なるアプローチである。

これからの学校は働き方改革によって、教員の実施すべきことが制限される。したがって何が主要な役割であるかに絞り込みながらの職務遂行が求められる。

その場合、エビデンスの効果的な活用こそが必要になるのである。

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