保護者と歩む学校経営(4) 卒業式・その1

eye-catch_1024-768_nagahori_fin早稲田大学大学院非常勤講師 元茨城県牛久市教育委員長 永堀 宏美

学校経営で積極的に生かす

卒業の季節です。卒業式の厳粛な雰囲気は人生の節目を感じさせ、気を引き締めてくれます。儀礼的要素の多い現行のスタイルは、場の持つ力を生かし切れているとは言えません。今一度、卒業式全体を見直し、可能性を最大限に引き出して、会場の皆を幸せな未来に導く場にしてもらえたらと思います。

〇「保護者と共に」を具現化

式典会場の保護者の居場所は、たいてい後方で、わが子がどこに座っているのかも分からず、遠く離れたところから、じっと進行を見守るだけという場合が多いでしょう。保護者の受け身姿勢を助長するようなしつらえは、「保護者と共にある学校」の具現化とは対極です。

昨今の多忙な保護者は、学校に望んでいたほどの理解や協力の姿勢を得られなかった思いが少なからずあり、仕方ないと受け止めもしています。学校経営で、保護者との協力や信頼関係が最優先事項と認識するなら、最後の学校行事の場で「保護者と共に」を皆で実感できるよう試みてはいかがでしょうか。

〇保護者への働き掛け

式典の中で、保護者の理解と協力で無事に卒業式を迎えられたとの要素を示したら、保護者は過去のマイナスを全て払拭するまではいかなくとも、大きな充足感を得るでしょう。

式辞で保護者の協力や信頼関係を通じて得た具体的なエピソードに触れ、ねぎらいの言葉を添えてみてください。通例の「改めまして保護者の皆様、本日はおめでとうございました」の美辞麗句よりずっと心に残り、「学校と共にわが子の学校生活を支えた」実感になるでしょう。

学校関係者、保護者、地域の多くの人々の支えがあっての卒業だと実感できる演出(対面や手紙の朗読等)、卒業生を送る会(校内行事)で行うような、心温まる要素も盛り込んでみてください。卒業生だけでなく保護者も周囲に見守られた子育てだと再認識できますし、公の場での協力者へのねぎらいは未来への意欲にもつながります。

〇教職員への働き掛け

保護者の視点で卒業式を見直す作業は、一部の管理職だけで行わず、学校全体を巻き込んでください。その結果を校長はじめ、管理職が率先して卒業式で示せば、学校の本気度は全体にも伝わります。意見やアイデアを出し合いまとめるプロセスそのものが学びとなり、教職員に「保護者との信頼関係重視」の学校経営姿勢を深く理解、浸透させることになります。

そんな時間も余裕もない、という現場からの声には、連載7回目でお応えする予定です。