保護者と歩む学校経営(5) 卒業式―その2

eye-catch_1024-768_nagahori_fin早稲田大学大学院非常勤講師 元茨城県牛久市教育委員長 永堀 宏美

場を生かし期待に応える
〇学校への期待

卒業式を迎える年頃の子供たちは親の言うことに耳を貸さなかったり、家で学校のことは話さなかったりと、無力感に襲われる保護者は少なくありません。保護者は学校に大きな期待を抱いており、特に学びに関する支援は「保護者にはできない」「学校にこそお願いしたい」と頼りにしています。

学校の教育力を発揮してその期待に応えるためにも、卒業式を単なる儀式ではなく、卒業生や参列者の心にプラスの種をまき、幸せな未来へと導く場にしていただけたらと思います。

〇最後の学びの場を生かす

小学校に入学したころは、みな「できた」「分かった」喜びにあふれ、学ぶことが好きだったはずです。成長するにつれ楽しさを忘れてしまい、勉強を辛くてつまらないものと思い込んでいるのはもったいないです。

その責任の一端は、大人にもあります。楽しみながら学ぶ機会を十分に創れなかったことの結果でもあるからです。卒業の場で「人は学ぶことで人生を豊かにし、幸せになれる」という本来の学びの意味を再確認し、意欲を再び引き出すメッセージを伝えることに意義があります。学校最後の学びの機会と位置付け、生かしてください。

○なんのために学ぶのか

この命題への答えは、人の数だけ存在するかもしれません。その中の一つが「幸せな人生を歩むために私たちは学ぶ」であることを、ぜひ伝えてください。学びで得た力は、自らを幸せにするだけでなく、周りの人も幸せにする力です。その力を使うことで人生はより豊かで幸せになる、という連鎖の中に私たちは生きています。

卒業生は、ほぼ全員、「読み・書き・計算」ができます。地球上では7人に1人はそれができません。それが意味することは、という問いにも、いろいろな答えがあるでしょう。一つだけ確かなことは、学びから得た力を、その機会がなかった人たちのために役立てられる日がいつか必ず来る、ということです。それを忘れずに、学びを生かして幸せな未来へと歩めるよう、背中を押していただけたらと思います。

〇保護者にも学びの機会に

大人になると学びの機会が減ります。保護者になって再び学校と関わり、得ることも多いのです。卒業式で受けたメッセージは、保護者にとっても貴重な学びの種となり、子育てやそれぞれの人生でいつか芽吹くでしょう。

卒業式という貴重な場をより広い視野で捉え、学校の持つ力を生かしてください。