保護者と歩む学校経営(7)入学式 その1

eye-catch_1024-768_nagahori_fin早稲田大学大学院非常勤講師 元茨城県牛久市教育委員長 永堀 宏美

信頼の土壌を築く

保護者にとって、学校は子育ての中核を成す存在です。入学式では期待と不安とともに「ここがわが子を安心して託せる学校でありますように」と祈っています。そうした思いに応え、信頼関係形成への第一歩を踏み出してもらえたらと思います。

(1)保護者が前向きなタイミングを生かす

学校行事の中で、入学式は保護者が最も前向きな気持ちで学校からのメッセージを受け取れるときです。多くの入学式がいまだに形式的で、保護者の心に強く訴え掛ける内容が稀有なのは大変もったいないことです。この貴重な機会を生かせるよう、できるところから改善に取り組み、保護者が「この学校は信頼できそうだ」「子供や保護者の話をちゃんと聞いてくれそうだ」と受け止められるような、学校の本気を見せてください。必ず入学後に生きてきます。

(2)負の要素を上手に伝える

儀礼的で建前論に終始する式辞は、保護者の徒労感や受け身姿勢を加速させるばかりか、「信頼につながる要素」を見いだそうとする保護者には逆効果です。保護者が懸念する負の要素も避けずに上手に伝えられれば、心の距離を縮め良好な信頼関係へと導けます。コツは、負の部分をあからさまに表現するのではなく、式典らしさを保ちながらも分かりやすく、安心感を与えられるように伝えることです。

例えば、「本校ではいじめゼロです、安心してください」と校長式辞で触れても、「そうは言っても保護者や先生の見えないところで何があるか分からない」と不安がもたげ、建前論だと受け取られてしまいます。そこで次のように添えてみます。

「本校ではいじめゼロを目指します。何分にも成長期の子供は言葉やコミュニケーションにも未熟な点があり、多少のいざこざやトラブルはつきものです。それらもまた、人間関係形成を学ぶ大事なプロセスとして取り組みます。いじめに発展しかねない小さな芽を見逃さず、丁寧に摘み取れるよう、教職員一同、当事者の子供たちの話をしっかりと聞くよう心掛けています。見守る保護者の皆さまにはご心配なことは多々あるでしょう。気になることがあればいつでも学校にご相談いただき、お子さんたちの成長をご一緒に支えていきたいと思います」。

こんな言葉によって真実味が増し、信頼の種を見いだしやすくなるのではないでしょうか。

(3)学校の決意表明

多忙を極める学校で、このような「子供たちとしっかり話をする時間」を確保するのは一苦労だと拝察します。だからこそ、入学式で保護者に宣言して実現に近づいてほしいものです。