保護者と歩む学校経営(8)入学式 その2

eye-catch_1024-768_nagahori_fin早稲田大学大学院非常勤講師 元茨城県牛久市教育委員長 永堀 宏美

学校の本気度を「宣言」で示す

①「子供最優先」宣言

教職員が疲弊する様子が日々報道され、保護者に懸念が広がっています。入学式では、「働き方改革」などによる改善に向けた学校の取り組み姿勢を明示し、不安を払拭してください。ぜひ強調してほしいのは、「子供最優先」が改善の最大の目的であり、「最も利するのは児童生徒」という点です。教員が雑務に追われて授業準備もままならない状態など、誰も望みません。十分な時間と心の余裕をもって子供たちと向き合うために必要だと分かれば、保護者は応援の気持ちを抱くでしょう。

②「やらない」への抵抗と味方

改善の中には、それまで当たり前だったことを「やらない」と決めることも含まれます。文科省通達に背中を押されたものであっても、当事者や周囲の抵抗は少なからず予想されます。だからこそ、入学式の場で管理職自らが宣言することをお勧めします。公の場での決意表明からは、本気度が伝わります。教員たちの推進力にもなり、実現可能性を高めます。保護者や地域など、周囲からの応援や励ましも得やすくなるでしょう。宣言で、周りを味方につけましょう。

③プラスを強調した伝え方の工夫

「やらない」表明には、伝え方の工夫が肝要です。プラス表現を心掛け、マイナス面を凌駕(りょうが)する利点を強調してください。子供のためだと理解できれば、保護者も協力的になれます。

24時間体制の電話対応を廃止する場合、「時間外は受け付けない」などの否定表現ではなく、次のようにプラス面を強調してみてはいかがでしょうか。

例=「『働き方改革』の一環として、本校への電話は、本年度より夕方以降は教育委員会へ転送されます。詳細は式典後の保護者説明の時間にお話します。これにより本校は『全てにおいて児童生徒を最優先する』との経営方針を貫き、より良い学習環境を整えるため、授業準備や生活指導などに必要な時間を確保できます。保護者の皆様にはご不便をお掛けすることもあるかと存じますが、何とぞご理解くださるようお願いします」

④前進あるのみ

宣言にどれほどの配慮と覚悟で臨んでも、批判ゼロではないかもしれません。教員世界では、改善のためでも悪しき習慣との決別は先達の実績否定につながる感覚があり、一般社会より難しいことがあります。学校を取り巻く環境は大きく変化しています。この機を逃さず、少数派の賛同を得る姿勢も示し続け、さらなる理解と協力を取り付けて、実現を目指してください。

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