保護者と歩む学校経営(10)新学期の情報発信~信頼構築に向けて

eye-catch_1024-768_nagahori_fin早稲田大学大学院非常勤講師 元茨城県牛久市教育委員長 永堀 宏美

①信頼の基盤は的確な情報発信

保護者との信頼関係形成には学校との視点の違いを理解した上で、保護者の不安を払拭し、思いに応えることが大切です。必要な情報をタイムリーに届けるのが重要なポイントです。入学後、見えないところで成長していく子供に、保護者の不安や心配は尽きません。それも親心ですが、新学期開始時点から、学校からの迅速かつ的確な情報発信を心掛け、信頼へとつなげていけたらと思います。

②最もほしい情報

新学期の時点で保護者が最も欲しているのは、年間行事予定です。子育てと仕事・介護などとの綱渡り状態の保護者には、学校行事との日程調整は切実な問題です。学校の予定が出るまで大事な要件の確定を待ってもらうケースが多いのです。後々の変更の可能性を考えて慎重になるのは分かりますが、たとえ公表後に変更があっても、それに不平を言う少数派がいても、確実に助かる多数派がいることを理解してもらえたらと思います。

それ以外にも、優先順位の高い必要情報は、親の出番となる授業参観や面談、準備を要する遠足や運動会、体育祭、文化祭、そして集金、引き落としなどの支払い関係です。

③家庭への情報サポート

情報発信について、学校は「大事なことは全てお便りできちんと伝えている」と思うかもしれません。学年が上がるにつれ、子供は学校の話を保護者にしなくなり、お便りなど必要情報を伝え損なう傾向にあります。家庭内の問題ではありますが、情報が的確に保護者に届くよう、学校HPなども活用しサポートしていきましょう。

④問い合わせを減らす伝え方の工夫

雪や台風などの緊急時の登校判断について何度お便りを出しても、保護者からの問い合わせ電話が朝から職員室で鳴り響くと聞きます。

対応策として、今一度お便りを保護者(利用者)視点で検証してみてはどうでしょうか。ポイントは、▽文章だけで埋め尽くさない▽メリハリあるレイアウトで要点明確化▽判断基準・行動決定プロセスを保護者視点で書く――です。

最後に、本稿でお伝えした保護者視点による学校の改善課題は、学校側の責だけを問うものではありません。保護者との信頼関係を構築し、不要な誤解やトラブルを防ぎ、子供に全力を注げる環境を学校に整えてもらえたらとの思いからです。双方が疑心暗鬼になっている現状に鑑み、子供たちの幸せな未来に向けて、より良い育成環境を作り出す一助になれば幸いです。

(おわり)