校長のパフォーマンス(85)教育格差を認める保護者たち

eye-catch_1024-768_takashina-performance教育創造研究センター所長 髙階玲治

ベネッセと朝日新聞が合同で4、5年ごとに行っている『学校教育に対する保護者の意識調査2018』のダイジェスト版が発表された。その中で特に目につくのは、「所得の多い家庭の子の方がよりよい教育を受けられる傾向をどう思うか」について、保護者の9.7%が「当然だ」、52.6%が「やむをえない」と答えている。6割を超える数値である。

実は前回の13年の調査で5割を初めて超えていて、格差是認が気がかりだったが、今回はさらにその傾向が顕著である。

また「貧富の差が拡大する」は「とても+まあそう思う」が85.0%であった。教育格差を認める風潮は今後も増加するのではないか。

さらに、経済的に「ゆとりがある」家庭とそうでない家庭とでは、教育格差についての判断が異なっていて、「当然だ+やむをえない」は前者が72.8%、後者が55.7%という結果である。

こうした教育格差を認める風潮は、13年から特に際立つのであるが、当時日本の子供の貧困率が大きな話題であった。厚生労働省の調査をみると、1985年の貧困率は11%程度であったが、09年には15・7%に増大する。

そのため、政府の第2期教育振興基本計画(13年)は「学習や社会生活に困難を有する者への学習機会の提供など教育支援」の拡充を大きく掲げていた。以後「貧困は増大する」という認識が広がりはじめ、それに対する国の政策が重要視されたのである。

こうした貧困の増大に対して(わが国の統計は相対的貧困率)、最近の第3期教育振興基本計画などは、生活保護世帯の子供や1人親家庭の子供などへの支援政策のほか、保育料の軽減措置や高校生への修学支援などを示している。

そうした動きを保護者はどう考えているのか。「教育予算は、所得の低い家庭の子供に対して手厚く使われるほうがよい」とする考えが38・6%で、「教育予算は、全員に等しく使われるほうがよい」の22・2%よりも多くなっていた。教育政策への期待は高いと言える。

しかし、両親が高学歴や都市部の保護者が教育格差をより是認する傾向もみられ、子供の高学歴志向や私学志向を助長する傾向を産みだすことになりそうである。つまりは社会格差を一層広げる可能性が大きい。将来的には社会構造や雇用環境がどう変わるか予測が困難な時代に入っており、保護者の考えも揺れ動きが大きくなるであろう。

一方、学校教育への保護者の信頼度はこれまでの調査の中で最も高くなった。「満足している(とても+まあ)」は小学校86.8%、中学校77.8%であった。ただ今後、学校の働き方改革やICTの導入などによっては、学校格差を生み出す恐れがあって、保護者の信頼度をどう持続させるか、が難しくなることが考えられる。