働き方改革と学校システムの刷新 ―接続可能という視点から考える―(10)決定打は「決めること」

eye-catch_1024-768_sumida_syusei横浜市日枝小学校長 住田 昌治

あるベテランの教師がいつも定時に帰るので、どうすれば時間外勤務はなくなるのか聞いてみました。答えは、「決めることだよ」でした。退勤時間を決め、周りの人に知らせておくことだと言うのです。そして、時間外にやったり、仕事を持ち帰ったりしないように授業を改善する、と言うのです。「教育課程外のことには手を出さない。だいたい学校は余計なことをしすぎている」とも言われました。反論もあるでしょうが、考えてみる価値のある視点です。

仕事に対する価値観は、「ワーク・ライフ・バランス」から「ワーク・アズ・ライフ(仕事と生活の融合)」にシフトしつつあります。「仕事さえ充実していれば幸せ」という価値観は過去のものだと言えます。一方、長時間勤務が常態化して、プライベートの時間や自己研さんを積む時間が犠牲になっている人はいまだに多いようです。その大きな要因は、仕事量以上に本人の時間意識にあると思います。「どうせ勤務時間内には終わらない」「この時間ならもう一つやっておこう」「もっとやっておきたい」という意識がある人、つまり、時間が無限にあると錯覚している人は、仕事を早く終わらせることは難しいのです。時間は有限であり、その気になれば学校の仕事は無限にあります。学級担任の経験がある人は分かると思いますが、子供のためになると思ってやり始めると永遠に仕事は終わりません。どこかで区切りをつけているのですが、その学校が持つ文化によってその判断も変わってきます。長時間勤務続きの毎日から本当に抜け出したいのなら、毎日の出勤時間と退勤時間を決めてしまうといいでしょう。夕方以降に予定を入れるなり、その時間を宣言するなりして、その時間に必ず帰る意思を見せることです。

とは言っても、「仕事をしている先輩がいたら帰りにくいし、自分がいないと他の人にも迷惑がかかるかもしれない」という声が聞こえてきます。先輩より早く帰ることに罪悪感を感じるために望まない時間を過ごすのは、燃え尽き症候群になる恐れがあります。退勤する自由を自分に与えましょう。学校内で信頼関係を築くことも欠かせません。「この人なら大丈夫」という信頼を獲得することができれば、周囲からの協力は得やすくなり、省略できる手続きも増えます。これにより短縮できる時間は計り知れないものがあります。仕事は一人ではできません。数多くの業務を柔軟に担い、相互に補い合うような同僚性を発揮するには、信頼関係を築くための働きかけと時間を確保する必要があります。それが、働き方改革における最も重要度の高い課題かもしれません。

(おわり)