クオリティ・スクールを目指す(124)小3の歴史認識は十分か

eye-catch_1024-768_takashina-school教育創造研究センター所長 髙階玲治

難しくなった社会科の学習内容

文科省の「新学習指導要領の解説」が発刊されて、『社会編』を読んだが、かなり難しくなったという印象である。

例えば、これまで3年生と4年生がまとめて記述されていたのが、新学習指導要領ではそれぞれ独立した。3年は主に市(区町村)を、4年は主に県レベルを学習対象にする。

そこで、かなり難しいと思われるのは3年の「市の様子の移り変わり」の学習である。自分の住む地域を多様な視点から学ぶことは極めて意義があるが、3年生の発達レベルでの時間(歴史)認識はどの程度であろうか。つまり見えない世界をどう認識するか、という課題で、これまでは目に触れる範囲の学習にとどまることが多かった。

例えば、前学習指導要領は「身近な地域や市の特色ある地形、土地利用の様子、主な公共施設などの場所や働き、交通の様子、古くから残る建造物など」とされていた。これらは目に触れられる学習対象であって「空間認識」と言える。その意味では、しっかりと対象の観察を行うことで視覚的な認識を確かにすることが可能である。

ところが新学習指導要領は「交通や公共施設、土地利用や人口、生活の道具などの時期による違いに着目して」とある。この「時期による違い」の認識はかなり難しい。

さらに、学習方法がアクティブ・ラーニング重視である。副読本の内容を理解すれば、それで十分なのではない。博物館等で聞き取り調査をする、関係機関の資料を調べる、年表にまとめる、などの学習活動を行う。

この学習で子供が何を身に付けることを重視するかと言えば、聞き取り調査で必要な情報を集める技能、移り変わりなどの情報を読み取る技能、調べたことを年表にまとめる技能などである。

周知のように社会科は3年生からスタートする。その最初の学びの対象が身近な地域や市である。また、学習スタイルも「主体的・対話的で深い学び」の初歩的な学習活動になる。それが、「情報を集める」「情報を読み取る」「調べたことを何かに表す」技能の獲得につながる。

ただ、最初に述べたように3年生の発達段階は地域を学習対象にした場合、時間認識は空間認識よりも難しい。地域の移り変わりを示す博物館があればよいが、そうでなければ学習をビジュアル化するなど、多様な工夫が必要である。何よりも教師の地域認識が重要である。副読本づくりを盛んにしたい。

なお、市や社会の動きは社会科のみでなく、さまざまな学習分野で学びの対象になることは確かであるが、学んだことが社会や生活につながることの確かな実感を社会科で最も充実したい。社会認識のみでなく、社会的実践力の形成となってほしいのである。

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