eポートフォリオで学校が変わる(1)今、求められるeポートフォリオとは

eye-catch_1024-768_morimoto_fin東京学芸大学教授 森本 康彦

いつの頃からでしょうか。授業をのぞくと、子供たちが笑顔で対話しながら夢中になって学びに取り組んでいる姿が目に飛び込んでくることが当たり前のようになりました。かつての、教室にチョークと教師の声が響き、静粛の中で子供たちが黙々とノートに向かい、何かを書いている風景。それは、遠い昔のことのようです。

2020年から順次始まる新学習指導要領の下では、主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の実現が強調されていますが、すでに学校現場では、小学校を中心に着実に広がりをみせていると言えます。

児童生徒自らが、協働的に学びに取り組み、学習活動を振り返って次につなげる主体的・対話的で深い学びの過程では、さまざまな学びの記録が生成されます。これら記録を電子的に蓄積したものの全てが森本ポート1図「eポートフォリオ」です。

学習過程で蓄積されたeポートフォリオは、児童生徒の次の学びの教材として活用できるだけでなく、継続的に蓄積していくことで、過去と現在の学習状況を把握、評価し、そして未来の伸びしろまでみることができる「学びのアルバム」になるのです。主体的・対話的で深い学びで育成される「テストだけでは測ることができない資質・能力」を評価するツールとして、eポートフォリオが注目されるようになったのはこのためです。

また、児童生徒は、eポートフォリオを記録したり、見返したりするときに自問自答(自己評価)による気付きが生まれて学びが促進され、それを繰り返すことで、学びが定着していきます。さらに、長期的に蓄積された多量のeポートフォリオから、学習履歴やベストワークを精選し、入試や就職にも活用できるようになります。

21年度からの大学入試では、筆記試験に加え「主体性を持って多様な人々と協働する態度」をより積極的に評価するため、調査書や志願者本人が記載する活動報告書等を重視する方針が示されました。この多面的・総合的な評価を実現するための証拠(エビデンス)が、eポートフォリオになります。

つまり、eポートフォリオには2つの重要な役割があります。1つは、学習過程において「学びと評価を促進させるためのツール」としての役割。もう1つは、結果としての「学習の成果を引証づけるエビデンス」の役割です(図)。よく、学習の最終成果物や履歴書に当たるものをeポートフォリオと呼ぶケースがありますが、それはeポートフォリオの一側面に過ぎません。学習過程における密な学びと評価があっての学習成果ですから。