eポートフォリオで学校が変わる(2)eポートフォリオは時空を超えて学びをつなぐ

eye-catch_1024-768_morimoto_fin東京学芸大学教授 森本 康彦

eポートフォリオを説明する際、「野球ノート」を例にします。球児は、厳しい練習の後に、その日の練習内容だけでなく、技術面で成長できた部分や、逆にできなかったこと、気持ちの反省、発見したことなどを記録します。目標や練習メニュー、体調管理のポイントも書くでしょう。監督から赤ペンでコメントをもらったり、仲間同士で読み合い、交換日記のようにやり取りしたりするそうです。

野球漫画の「巨人の星」や「ドカベン」で育った昭和の人間からすれば、ノートを書いている暇があったら、1回でも多く素振りやうさぎ跳びをして鍛えた方がいいと思ってしまいますが、現在、このノートを書く行為自体が練習の大切な一部になることが分かったのです。例えば、自分が何を目指して野球をしているのかを考え、練習では「あっ、分かった! できた! こうすればいいんだ」「今度はこうしてみよう!」といった、その場で起きる気付きや発見、教訓、次への決意があります。野球のテキストだけでは得られないリアルな学びの連続です。それらを自分の言葉で表現してノートに書き留め(外化し)、振り返ることで多くを学び取っているのです。メタ認知です。

森本ポート2画像もちろん、ノートの中には、戦歴、試合のスコア、個人成績などの履歴も記載されますが、最も大切な記録は、そこに至る過程(プロセス)です。野球ノートを書くこと自体が練習そのものであり、その過程ではたくさんの学びが生起されるのです。ノートには練習を通した球児の成果の証拠(エビデンス)が記録され、他者がそれを見れば、選手としての成績だけでなく、球児として良い点(できるようになったこと)、進歩の状況(成長)、可能性(伸びしろ)さえも見取ることができます。

このノートが電子化され、利活用できるようになったらどうでしょうか。練習や試合の動画や画像がノート内で利用でき、タブレットなどのICT機器を用いれば、いつでもどこでもノートにアクセスできます。各練習を単独のものとするのではなく、ノートを介して過去と今をつなげられます。1年間を一つの大きな練習として一体化させることも可能になるでしょう。自分だけでなく、監督や仲間たちもノートを介してつながることができるため、時空を超えて学び合うコミュニティーがおのずと手に入ります。これはeポートフォリオそのものです。

eポートフォリオは、いつでもどこでも児童生徒の学びと評価を促進させてくれます。時空を超えて学びを継続的につなげてくれる有機的な教育データです。3年間の継続的な学びの成果を見える化できるのです。