矯正教育最前線~学校との連携を模索して(2)矯正教育の現状

eye-catch_1024-768_yokoyama_fin監修 國學院大學名誉教授 横山實

少年院での不祥事は、海外に比べて少ないのであるが、2009年には、広島少年院の複数の法務教官による在院者への暴行事件が発覚した。このような不祥事を予防するため、少年院法は、施設運営の透明化を目指して14年に全面的に改正された。

新少年院法第一条で規定している目的は、「少年院の適正な管理運営を図る」とともに、「在院者の人権を尊重」しつつ、「その特性に応じた適切な矯正教育」「その他の在院者の健全な育成に資する処遇」を行うことにより、「在院者の改善更生及び円滑な社会復帰を図る」ことである。

筆者は法案作成の過程で、パブリックコメントに応募して、「適正な管理運営」を強調し過ぎると少年院が刑務所化しかねないと指摘した。なぜならば、少年院法案は、刑事収容施設法をモデルにしていたからである。また、少年法の本来の理念を踏まえて、在院者の「最善の利益のための矯正教育」という文言を第一条に挿入することを提言したが、それも受け入れられなかった。

矯正教育は、「在院者の犯罪的傾向を矯正」し、ならびに「在院者に対し、健全な心身を培わせ」「社会生活に適応するのに必要な知識及び能力を習得させる」ことを目的とする。その目的を達成するために、生活指導、職業指導、教科指導(学校教育の内容に準ずる教科指導を含む)、体育指導を行うと規定されている。

また特別指導活動として、社会貢献活動、野外活動、運動競技、音楽、演劇その他の活動の実施に関して、必要な指導を行うことがうたわれている。普通の学校では、教科教育を中心としているが、少年院での矯正教育では、犯罪的傾向を矯正するための生活指導や、社会復帰するための職業指導に重きが置かれている。

矯正教育を実践しているのは、法務教官である。教員免許を持っている法務教官も少なからず存在する。しかし、法務教官が担いきれない科目については、元教諭である部外学科指導員などの民間人に担当してもらっている。また、篤志面接委員と呼ばれる民間の協力者は、家庭問題や職業相談などの悩みごとの相談を受けて助言を与えたり、俳句、音楽、書道などの趣味に関する指導も行っている。このような形で、多くの教育関係者が矯正教育に関与している。

少年院では、在院者のために担任教師が面接に訪れるのを歓迎している。その活動の意義については、都立雪谷高校教諭の梅澤秀監が紹介することになっている。本連載記事を読み、学校教育と矯正教育との関連を考えていただければ幸いである。

(横山 實)

関連記事