eポートフォリオで学校が変わる(3)今、求められるeポートフォリオとは

eye-catch_1024-768_morimoto_fin東京学芸大学教授 森本 康彦

活用が求められる学習評価とは

「評価」という言葉に対して、みなさんはどのようなイメージを持っていますか。重苦しく、できれば避けたいというイメージを抱いている人も多いのではないでしょうか。これまで行われてきた評価が、成績付けとしての「評定(grading)」や、選抜や優劣を付ける「エバリュエーション(evaluation)」としての役割が強く、いつの間にか、手段であるはずの評価が目的化してしまい、「いい点」を取るための勉強が表に出過ぎてしまったのだと思います。

森本ポート3画像これからの新しい時代に求められる「評価」は、「アセスメント(assessment)」と言われるものです。アセスメントは、ラテン語の「そばに寄り添う」という言葉が起源であるように、教員が常に、子供たちの学習状況を把握(評価)し、進む道を見いだす(主体的に学習を進めていく)ために適切な学習支援(足場掛け:scaffolding)を与え、成長を見守ることです。

アセスメントは、児童生徒が学ぶ過程そのものなのです。よく、エバリュエーションが学習結果の優劣を付ける「後ろ向きの評価」と言われるのに対し、アセスメントは学ぶ者たちの背中を押しながら、おのおのが目標に向かって歩みを進める「前向きの評価」であると言われています。

実は、学校教育における学習評価には、アセスメントが求められています。新学習指導要領の総則では「各教科等の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫して、学習の過程や成果を評価し」と明記されており、同解説では「資質・能力のバランスのとれた学習評価を行っていくためには、指導と評価の一体化を図る中で、論述やリポートの作成、発表、グループでの話し合い、作品の制作等といった多様な活動を評価の対象とし、ペーパーテストの結果にとどまらない、多面的・多角的な評価を行っていくことが必要である」としています。

この多面的・多角的な評価(アセスメント)は、紙ベースの学習成果物を扱ったポートフォリオ評価や、観察・対話等を通して子供たちの活動全体を評価するパフォーマンス評価などが知られてきましたが、限られた授業時間の中で詳細な評価を行うのは困難でした。

しかし、ICT環境の急速な進化と整備により、タブレット端末などを利用し、子供たちの学びのあらゆる記録を電子的に蓄積・利活用できるようにした「eポートフォリオ」を用いることが可能になりました。テストでは測れなかった思考力や問題解決能力だけでなく、協働する力や主体性までをも「見える化」できるため、効果的な学習評価を可能にすると期待されています。

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