eポートフォリオで学校が変わる(4)今、求められるeポートフォリオとは

eye-catch_1024-768_morimoto_fin東京学芸大学教授 森本 康彦

なぜ「主体的・対話的で深い学び」に必要なのか

たとえ教師が熱弁を振るう一斉授業であっても、自ら「なるほど!それで?」と自問自答しながら前のめりに取り組んでいる児童生徒は、ただボーッと参加している者と比べて、格段に多くのことを学んでいます。逆に、一見とても盛り上がっているグループ学習であっても「面倒くさい、早く終わってほしいな」と思いながらやっている学習は、ただの作業にしかならず、学びは乏しいものになるでしょう。学習効果を上げるためには何が必要なのでしょうか。

アクティブ・ラーニングにおけるeポートフォリオの役割
アクティブ・ラーニングにおけるeポートフォリオの役割

近年、その答えが分かってきました。それは「気付き」を得ることです。学ぶということは、ただやみくもに暗記することではなく、自ら気付くこと(メタ認知)なのです。

今、日本だけでなく世界が「子供たちが見通しを持って粘り強く取り組み、自らの学習活動を振り返って次につなげる主体的な学び」を求めています。最も大切なポイントは、自身が何度も「なぜだろう? 分かった!」と考えながら問題解決を図ろうとする学習の過程を実現できているかです。学習場面ごとに学びの振り返りが必要ですが、ICTの導入で、多くの学びの記録「eポートフォリオ」が生成されていきます。いつでもどこでもアクセス可能なため、学習過程を通して児童生徒に多くの気付きを与えられます。次の四つのタイミングが重要です。

(1)かくとき=学んだこと、分かったことなどをeポートフォリオにかき込むときにさまざまな気付きが起きます。

(2)みるとき=eポートフォリオの内容をみることで学びを振り返ることにつながり、学習状況や成長を把握し、学びを見通すことができます。

(3)選ぶとき=eポートフォリオの中からベストワークや特徴的なものを精選したり、比較したりすることで、さらなる気付きが起きます。

(4)対話するとき=仲間同士での学び合い(相互評価)、教師からのコメント(教員評価)など、他者との対話は自己との対話(自己評価)を誘発し、振り返りが促進されることで気付きが増え、学びが深化されます。

新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」の実現が求められています。一斉学習、仲間同士で互恵的に学び合う協働学習、個別学習と必要に応じて形を変えながら、児童生徒が習得した知識・技能を活用し、思考・判断・表現を繰り返し探究的に学び続ける深い学びで、仲間・教師・自分との対話を通し主体的に学んでいくものです。主体的・対話的で深い学びの中には四つのタイミングが多く含まれていることに注目してください。eポートフォリオの活用は、学びでの気付きを爆発的に増やし、豊かな学びへと一気に引き上げてくれるのです。

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