矯正教育最前線~学校との連携を模索して(4)学校とつながる少年鑑別所の新たな取り組み

eye-catch_1024-768_yokoyama_fin監修 國學院大學名誉教授 横山實

少年鑑別所は主に、家庭裁判所による処分が決定する前の子供たちを収容し、なぜ非行に至ったのか、どうすれば立ち直れるのかを、医学、心理学などの知識・技術を用いて明らかにし、処遇の指針を提案する国の機関です。子供一人一人に、心理の専門職員と教育の専門職員がそれぞれ担任となり、面接、心理検査、行動観察などを行っています。

成長発達期にある子供たちの健全な育成のために、少年鑑別所では学習の機会を設けています。その様子と、地域の非行・犯罪の防止に向けた学校との新たな連携について紹介します。

学習用の図書・教材を幅広く整備しています。少年鑑別所では、個々の学力を把握した上で、元教員や大学生ら外部の方の協力を得て、個別学習の機会を設けています。

参加者からは「諦めていたけど、分かると面白かった」「早く学校に戻って皆と勉強したい」といった、肯定的な感想が聞かれます。在籍校の先生が面会にいらした際に、直接、学習の助言・指導をしていただいたり、宿題や教材を差し入れていただいたりすることもあります。

少年鑑別所では「法務少年支援センター」の名称で、学校から依頼をいただき、地域の非行・犯罪防止のため、児童生徒による問題行動の理解の仕方や、今後の指導方法を提案しています。小・中・高、特別支援学校、教育委員会から依頼され、ケース会議への参加、法教育授業、子育てについて保護者・教職員の方にお話しすることもあります。

最後に、当所と近隣のエンカレッジスクールとの新たな連携を紹介します。この取り組みは、学校適応を図り、中退を防ぐことで非行防止を目指すもので、当所職員が、問題行動のあった生徒の学級復帰のため、本人の気持ちを聞き、心理検査などを行っています。結果は本人に伝え、自分の性格、周囲との接し方を考えるきっかけにしてもらうほか、先生方にも伝え、指導の手掛かりとしていただいています。

関係職員が情報共有を行う定例会議に、当所職員も出席し、学級運営や生徒への働き掛けについて提案をしています。

このほか、授業中の生徒の様子を見せてもらい、指導方法を提案したり、生徒が書いた資料などから、学校生活への不安の小さなサインを見つけ、最近の生徒の様子を教職員の方と共に振り返り、助言をしています。

少年鑑別所は、非行・犯罪防止の専門機関として、地域の子供たちの健全育成、生きづらさを抱える子供たちの支援に貢献していきたいと考えています。どうぞ、最寄りの少年鑑別所の活用をよろしくお願いいたします。 (東山哲也・八王子少年鑑別所首席専門官)

関連記事