eポートフォリオで学校が変わる(5)今、求められるeポートフォリオとは

eye-catch_1024-768_morimoto_fin東京学芸大学教授 森本 康彦

なぜ「主体的・対話的で深い学び」に必要なのか ②

「問題解決の授業なんて50分で終わらないよ! どうしよう」――。この言葉は、今もよく聞かれる教師の本音です。従来の授業では、教師は子供たちの反応を見ながら、時間内でいかに指導案通りの学習指導を行えるかが重要視されました。現在とは求められる教育観の違いもありました。それ以上に、キリのいいところまでやらないと、せっかくの学びが途中で消え去ってしまうのが嫌だと考えたからでしょう。当時は、授業は一回一回が勝負となる、独立した勉強の塊だったのだと思います。

新学習指導要領では、「習得・活用・探究」という学習プロセスの中で、問題発見・解決を念頭に置いた深い学びの過程の実現が求められています。習得した知識・技能を活用し、思考・判断・表現を繰り返し探究的に学び続けることを、1回50分ほどの授業で完結するのは不可能でしょう。しかし、今ならば簡単です。授業と授業をつないで、例えば、単元全体を大きな一つの授業と考えればよいのです。それを実現してくれるのが「eポートフォリオ」です。

eポートフォリオが創るシームレスな学び
eポートフォリオが創るシームレスな学び

授業中に必要な学びの記録や気付きの振り返りをeポートフォリオとして収集します。授業の中で、大切なところ、学び直してほしいところを家庭学習の課題にして、eポートフォリオとして残し共有することで、教師は前時や家庭学習の状況を確認し、次の授業を改善して導入部で解説を増やしたり、時には家庭学習の様子を直接教材として利用したりして、次時につないでいけます。あるテレビドラマのように、一番盛り上がったところでわざと止め、板書だけでなく、途中の学びの記録や思いをeポートフォリオとして蓄積。児童生徒の「次が気になる!」という気持ちを利用し、次回はその一番盛り上がったところから始め、児童生徒の主体性を引き出す工夫をしている学校もあります。児童生徒の学びをシームレスにつなぎ、大きなアクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)を創り出していくのです(図)。

ある授業と他の授業、探究的な学習や家庭学習、ボランティアや修学旅行・留学などの課外での学びが、eポートフォリオを介してシームレスにつながることで、6年間・3年間の在学期間の中に、いくつもの横断的・縦断的なアクティブ・ラーニングをデザインすることが可能になります。これが、「カリキュラム・マネジメント」です。eポートフォリオは、時空を超えて教育を創造するツールです。主体的・対話的で深い学びは、eポートフォリオの活用で、教室の枠を飛び越えた真正な学習に深化することができるのです。

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