AI時代の学校教育と教師に求められる資質能力(3)具体的な授業活用のイメージ

eye-catch_1024-768_matsuda_fin東京学芸大学副学長 松田 恵示

前回は、AL(Adaptive Learning)について少し触れたが、実際のところ、そもそも「AI」がALという個別な適応学習を具体的にどのように提供してくれるのか、なかなかイメージできない場合も多いと思う。

学習指導の場面で使われるAIについて、具体的にどのようなイメージを持てばいいのだろうか。ここで、図を見ていただきたい(Puente、Vol.09、東京都行政書士会2018)。

この図は、総務省などが示しているいくつかの資料を参考にして、AIの利活用のイメージを表したものである。例えば、小学校6年間で学ぶ算数について、一人一人に応じたALを行いたいと考えたとする(「課題設定」図中のⅠの部分)。

まず準備として、小学校6年間で教える項目について評価できるテスト(問題)を作り、仮に10~20万人といった規模でそのテストの結果を収集し、さまざまな正誤両方の解答を集めることが必要になる(「データの収集」と「ビッグデータ化」図中のⅡとⅢの部分)。

その後、そのデータをAIに分析させ、新しい個別のデータを入れると即座に結果を判断し、子供に応じた課題や問題を示すことのできるモデル(例えば、デジタル教材として)をAIに構築させる(「学習済みモデル構築」図中の4.の部分)。

次に、その構築済みのAIに、算数指導の現場(学級)で実際に分析させ、アウトプットされた内容に基づいて、学習指導の具体的場面で利活用していく(「課題データの入力」と「課題解決」図中のⅤとⅥの部分)という流れである。

ただ、こうしてAIを実際に利用する間にも、AIは新しいデータとして学習を続けることになり、アウトプットの精度が高まるとともに、他の利活用も構想できる(「改善・発展モデル構築」図中のⅦの部分)。

将棋の世界ではすでにAIが人間の名人より強いように、算数だけでなく、国語や理科との関係について分析できたり、食事や運動との関係についての学習指導ができるようになるなど、限定的なものではあるが、その精度は相当に高いものとなるだろう。

こうなると、一人一人の学習活動そのものに、次の最適な学習が示され、得意なところ、不得意なところに応じた「究極の個別学習」や「個別指導」が可能になる。授業の形態や教育課程、さらには学校自体の在り方が大きく変化するかもしれない。こんなことが、今、探られているわけである。

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