矯正教育最前線~学校との連携を模索して(5)赤城少年院における義務教育指導

eye-catch_1024-768_yokoyama_fin監修 國學院大學名誉教授 横山實

少年院は、家庭裁判所において少年院送致の保護処分の決定を受けた者などを収容し、矯正教育と社会復帰支援を行う施設であり、在院者の特性に応じたさまざまな教育のコースを設けています。赤城少年院は、主に中学生を対象とした義務教育課程Ⅱという矯正教育課程が指定された少年院で、在院者の標準的な矯正教育の期間は約11カ月です。

少年院の矯正教育は、生活指導、職業指導、教科指導、体育指導および特別活動指導という五つの指導分野で構成されており、義務教育課程の在院者に対しては、教科指導として学習指導要領に準拠した義務教育指導を行っています。当院の在院者は、基礎学力が低く学習意欲が乏しいこと、適切な対人関係を築くのが苦手であること、自己肯定感が低いこと、大人への不信感が強いことなどが特徴として挙げられ、心身共に発達段階を考慮した処遇が求められます。

教科指導の実施に当たっては、在院者の学力に差があることから、習熟度別のクラス編成をしています。Aクラスはおおむね小学校高学年から中学1年生レベル、Bクラスはおおむね中学1年生から2年生レベル、Cクラスは中学3年生レベルで、高校受験を目指す者もこのクラスの対象となります。

在院者は、さみだれ式に入院してきますが、最初は全員Aクラスに編入させます。Aクラスにおいては、集団指導のほか、必要に応じてタブレット端末を用いた個別学習を行っており、毎月実施する確認テストの結果や出院後の進路に応じて、BクラスまたはCクラスに編入させていきます。

自分自身の学力が高まり、上のレベルのクラスに編入されることは、在院者の大きな励みとなります。また、Bクラスでは、通常の授業のほか、アクティブ・ラーニングを積極的に実施しています。自ら主体的に学習に参加し、他の在院者と協力しながらその成果を発表するという経験は、「勉強って面白いんだ」「自分もやればできるんだ」といった学習意欲の喚起や、「きちんと生活していれば、学校はもっと楽しかったかもしれない」といった、これまでの生活への気付きにもつながっています。在院者の中には、出院後に中学校へ復学する者もいれば、在院中に卒業の時期を迎える者もいます。そのため処遇は、在籍中学校との連携が極めて重要です。中学校とは、日頃から在院者の学習状況について連絡をとっていますが、復学する者については、復学に当たっての課題を中学校や保護者と共有し、在院者自身にも考えさせながら、その解決に努めています。

在院中に卒業を迎える者には、在籍中学校からの卒業証書の授与に向けた調整を行います。当院では、毎年3月下旬に卒業証書授与式を実施しており、昨年度は22人の在院者が対象となりました。

式当日は、学校関係者、保護者、地域や関係機関の来賓などに出席いただき、各学校の校長から卒業証書を授与していただきますが、その日の在院者の感想文には、「自分を見捨てないでいてくれて感動した」「中学校とつながっていることがうれしかった」「卒業式後の面会で先生に謝ることができた」などの記載が多く見られます。卒業式を通じて中学校から支えていただいていることを実感し、そこから反省の気持ちを深めていく在院者も少なくないように思います。

在院者たちは、少年院生活の中で、非行に対する反省を深め、これからの自分自身の在り方を考えながら、再非行しないための自分自身をつくろうと懸命に努力しています。彼らが円滑に復学・進学するために少年院として何ができるのか、今後も学校関係者の皆さまの協力を得ながら、検討していきたいと考えています。

(伊藤広行・赤城少年院首席専門官)

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