クオリティ・スクールを目指す(126)小学生の登下校時の見守り隊

eye-catch_1024-768_takashina-school教育創造研究センター所長 髙階玲治

地域の子供は地域が守る

5月7日におきた新潟市の小学2年生の殺害・線路上の遺棄事件は強い衝撃を社会に与えた。当日、踏切付近を一人で歩いているのが目撃されていたというが、線路脇の道路はボランティアの見守りがいなかったという。全国の各学校は、緊急に通学路についての点検と防犯対策を再確認したであろう。

実のところ最近、学校の働き方改革の論議が盛んであるが、中教審の「中間まとめ」は、必ずしも学校が担わなくともよいものとして「学校の登下校」をあげていた。

しかし、子供の登下校中の交通事故は時々ニュースとして報道されるように、かなり頻繁に起きているのが実態である。そのため、交通安全対策は誰が行うのか、という視点からの反発がみられた。

そうした通学路は全国的に多いと思われるが、安全対策は地方自治体の責任であって、車の速度制限や歩道の安全管理などを行っている。学校もまた安全のための通学路を決めたり、集団登校を行ったりしている。

つまり、主に交通事故対策であって、防犯対策はあまり明確でなかった。むしろ今回のようなおぞましい事件を想定できず、対策を超えていた様相がある。

今回の事件は、交通安全対策とともに、防犯対策の必要性を訴えるものである。その対策は、これまでも多様に考えられてきたが、今後どう見直すべきであろうか。

中教審の学校の働き方改革は、教師の負担軽減を求めるのが趣旨であるが、登下校の見守りから教員を外すことは必要であっても、残る課題として交通安全対策と防犯対策の両面をどうするか、学校安全ボランティアに容易に委任できるかどうか慎重に考える必要があるといえる。

ところで、保護者は登下校の見守りに積極的なのであろうか。最近、発表されたベネッセ・朝日新聞の合同調査をみると、「学校から頼まれたら協力したい、してもよいこと」があって、「子供の安全を守る巡回活動」がトップになっていた。小学校39.1%、中学校35.8%である。「PTAの役員」よりも多い。

保護者に学校協力への意向が強いということは喜ばしいことであるが、この問題は単に学校の働き方改革のみの課題ではなく、学校として保護者や地域人材との連携・協力が豊かに形成される「機運」を創り上げる契機になるのではないかと考える。「登下校の見守り隊」はその突破口になるであろう。

今後、学校の働き方改革は大きく前進すると考えるが、それだけに保護者・地域人材が学校教育の役割の一部を担うことが頻繁に出現する可能性が大きい。

それは「地域の子供は地域で守る」動きであり、「地域の教育は地域で支える」動きでもあると考える。