eポートフォリオで学校が変わる(6)「主体的・対話的で深い学び」の事例

eye-catch_1024-768_morimoto_fin東京学芸大学教授 森本 康彦

高校の先生方と話すと、eポートフォリオが教科以外の探究的な学習やボランティア、修学旅行・留学などの活動の履歴を残すためだけのシステムだと誤解している人が多いのに気付きます。それは、eポートフォリオの一部の機能に過ぎません。探究活動もボランティアも旅行行事も、主体的・対話的で深い学びそのものですから、「eポートフォリオを必要としている」、ただそれだけです。今、eポートフォリオの活用で成功している学校の多くが、教科の授業を中心に使っています。

長崎南山中学校・高校の徳田憲一郎教諭(化学担当)は、1単元を一つの授業として捉え、実践しています。生徒ははじめに、それまで学んだ内容や分からなかったことを踏まえて学習目標を設定し、eポートフォリオに記録することで見通しを持ち、授業に取り組みます。次に、教師から学びの核となる事柄の説明を受け、その核をつかむための問い(教科書精読のための問いや探究を促す問いなど)をグループで対話し、自ら学び方や教材を選んで、eポートフォリオに記録しながら学習を進めていきます。教師は、それらを上手に支援し、全体の学びへと引き上げます。最後の段階では、学んだことを相互の振り返り(相互評価と自己評価活動)や全体での議論を通して教訓化できるところまで深め、成果を精選してeポートフォリオに記録し、次の授業につなげます。

考査終了後は、その結果とそれまでのeポートフォリオを見返しながら「できたこと/できなかったこと」を振り返り、次の学びに向け学び方を改善しています。

佼成学園中学校での授業イメージ

佼成学園中学校・高校の横木竣弥教諭と北野尚之教諭(共に英語担当)は、昨年度からeポートフォリオを用いた学びの振り返りを、授業に積極的に取り入れています。英語の授業では、生徒は自ら立てた予定に従い学びを進めます。学習の進度や内容は生徒によって異なり、必要に応じて仲間と協働的に学び合ったり(協働学習/相互評価活動)、教師に質問したりします。1時間の終わりには、自らの学びをeポートフォリオに記録し、振り返り(自己評価活動)を行います。単元の終わりや小テストのタイミングでも同様に学びを振り返り、仲間同士で共有することで、より大きな気付きを得るようにしています。一回一回の振り返りは浅くても、小テストや定期考査などのタイミングで自分の振り返りを読み返すことで、学習方法そのものへの気付きが得られ、さらに、仲間と振り返りを共有することで主体的に学び合う集団ができてきています。

あなたへのお薦め

 
特集