矯正教育最前線~学校との連携を模索して(7)少年院の高等学校卒業程度認定試験

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監修 國學院大學名誉教授 横山實

北海少年院は北海道千歳市にあり、北海道の各地から、12歳以上20歳未満の少年が入院してきます。

入院してくる少年たちには、中学校在学中の者と既に卒業している者の両方がおり、当院にいる間は、問題行動に関する勉強のほかに、前者は主に中学校の学習、後者は主に職業上の知識や技能の習得に励んでいます。

在院者の学歴を見ると、2017年は高校中退が全体の67%と最も多く、次に多いのが中学校卒業で18%となっています。出院後、進学を希望する少年は少なく、大多数の少年は就職しますが、前述した学歴では、進路選択の幅は狭くならざるを得ません。

少年院出院後、安定した社会生活を送るためには、進路選択の幅を広げる必要があります。

その一つの手だてとして、高等学校卒業程度認定試験は極めて有用です。

07年度から文科省の協力を得て、少年院や刑事施設の中でこの試験が受験できることになり、当院でも受験者、科目合格者、認定試験合格者が徐々に増えてきています。

一方で、高等学校卒業程度認定試験に向けた学習体制は、受験する者の自学自習が主でした。

そこで、少年院における受験指導体制の充実強化を図るため、17年度から新潟少年学院がモデル庁に指定され、教材の整備や外部講師による指導など、集中的かつ計画的に受験指導を行う体制を整備しました。

これにより、少年一人一人の学力レベルが格段に向上し、受験の結果にも相応の成果が表れたことから、17年度には多摩少年院も同様のモデル庁に指定されました。

そして、その取り組みは18年度から全国的に拡大され、前記2庁に加え、新たに11庁に重点指導コースが設けられることとなりました。

当院も整備対象庁となったことから、現在、新潟少年学院および多摩少年院の取り組みを参考に、今年11月の第2回試験に向けたコースを8月から開講できるよう、その体制整備に取り組んでいます。

具体的には、カリキュラムの検討や参考書の選定、講師の選定などについて、所管部署において話し合いを重ねているところです。

このように指導体制を整えることで、高等学校卒業程度認定試験の受験希望者が増加し、多くの合格者を出せるようになれば、在院者たちが自信を持ち、その後の進学への足がかりとしたり、就労への意欲が一層増していくことも期待できます。

当院に限らず他の少年院でも実際に、大学に進学したといったうれしい報告を受けることもあり、修学支援の重要性と成果を感じます。

ただし、在院者の中には、学習に対して苦手意識が強く、受験を最初から諦めている者や、高等学校卒業程度認定試験を受験するメリットについてよく知らない者もいますので、丁寧な説明などによる修学ニーズの掘り起こしも行っていきたいと考えています。

少年院ではこれからも、さまざまな働き掛けを通じて在院者の進路選択の幅を広げ、彼らが出院後、再非行することなく明るい将来を築いていくことができるように取り組んでいきます。

(大森勝弘・北海少年院首席専門官)