eポートフォリオで学校が変わる(9)eポートフォリオ活用のポイント(1)

eye-catch_1024-768_morimoto_fin東京学芸大学教授 森本 康彦

最後に、2回にわたってeポートフォリオを効果的に活用するためのポイントを説明します。

(1)「主役は児童生徒である」=学びの記録をeポートフォリオとして蓄積・活用しながら学びを深めていくのは児童生徒です。主役は学習者=子供たちです。教師は、子供たちがいつも生き生きと学びに向かえるよう支え続ける影の主役です。

(2)「eポートフォリオをためることは目的ではなく手段である」=児童生徒の学びとその評価をさらに促進させることが真の目的です。eポートフォリオを蓄積・活用することで、より気付きが増え、より対話が増え、そして、より主体的に学んでいくことが期待できます。新しい大学入試対策として「ためる」ことを目的に書かせたeポートフォリオは、学びとは言えない、ただの面倒くさい作業になってしまいます。そればかりでなく、記録は無機質で内容が薄い、顔の見えないモノにしかならず、多くの場合あまり役に立ちません。

(3)「くどいほど自己評価(学びの振り返り)を行う」=授業の最後に「今配った紙に『振り返り』を書いてください」という指示をよく目にします。この振り返りは、単なる授業の感想ではありません。あれやこれやと思いを巡らし「次はこうしよう!」と学びを振り返ることで、気付き、教訓化し、次につなげようとする思考(メタ認知)を誘発させる学習行為そのものです(図)。言い換えれば、思考・判断したことを外化し表現するのです。その際に学習成果物やその学びを象徴するリアルな写真や動画を一緒に登録すると良いでしょう。その結果、継続的に自己評価を行うことで、単なるデータの組み合わせが、学びの軌跡を見える化した「学びのアルバム」に進化します。

振り返りによる学びの深化

(4)「相互評価による学び合いを行う」=相互評価とは、単にお互いに点数を付け合う評価ではありません。eポートフォリオを活用した学び合い・教え合いです。仲間同士が協働的に対話しながら学び合う学習行為であり、そのままアセスメントという評価活動になります。ここで注目すべき特徴は、教える側と教えられる側とでは、教える側の方の学習効果が高いことです。もちろん、教えられる側も知らないことを知るチャンスとなるので「Win―Win」になれる互恵的な学習法とも言えます。しかも、相互評価後は、必ず自分への問い(自己評価)に返ってきますので、さらに学びが促進されます。

(5)「教員評価による足場掛け」=教師の役割は、知識の専門家から学びを支援するファシリテーターへと変わってきています。教師はeポートフォリオを活用しながら学習状況を把握し、児童生徒に声掛けをしたり、学習形態や教材、進め方を工夫したりと授業を改善しながら学習評価を進めていきます。学習支援では児童生徒に「先生は何も教えてくれなかったけど一人でできた!」と思わせる程度のギリギリのヒントを与えながら、学びの足場を掛けてあげること(足場掛け)が求められるのです。