矯正教育最前線~学校との連携を模索して(10)学校と少年矯正施設の連携の必要性

eye-catch_1024-768_yokoyama_fin監修 國學院大學名誉教授 横山實

今回の連載では、少年法の保護処分を行う施設、つまり、少年鑑別所や少年院で、最前線で働いている職員が、非行少年のためにどのような矯正教育を行っているかを紹介しました。

学校とは違って、これらの施設では、少年がさみだれ式に入所してきますので、同時点からの一斉教育は不可能です。今は、施設に収容されている少年の数が減少しているので、少年法の基本理念である「少年の最善の利益」を実現する方向で、個別教育が充実しつつあります。

例えば、第4回目の記事にあるように、子供一人一人に心理の専門職員と教育の専門職員が担任になり、きめ細やかな指導を行うことが可能になっているのです。

第5回目の記事で書かれている習熟度別クラス編成下での集団教育と個別指導の組み合わせによって、学校で手に負えなかった少年の多くが施設において、自分の非行を反省して、熱心に矯正教育を受けているのです。

施設に収容されている少年は、第5回目の記事に書かれているように、大人への不信感が強いのです。施設では、矯正教育を行う前提として、その不信感を和らげるための働き掛けをしています。教育関係者には、第3回目の記事に書かれているように、施設に収容されている少年に面会に行ったり、手紙を書いたりして、彼らが社会復帰できるように激励していただければ幸いです。

現在は、施設に収容されている少年の向学心が高まっていて、復学や受験を希望する者が増えています。しかし、人々の非行少年を見る目が厳しくなっているので、第6回目の記事に書かれているように、復学するには大きな困難が存在しています。教育関係者には、施設においては、非行を反省して復学する意欲がある少年がいることを理解していただければ幸いです。

今の日本では、規範からの逸脱に対する許容性は低下しています。特に若者は、自分の周りで非行を犯す者を目撃しなくなっているぶん、許容性を著しく低下させています。その結果、昔のように非行少年を社会の一員として包摂することなく、彼らを学校や地域社会から排除し、刑事施設に拘禁することを望む傾向が強くなっています。

しかし、少子化時代においては、非行を犯した少年も将来の日本を支える大切な人間です。それゆえに、少年法の理念に従って、健全育成の対象として教育や保護のサービスを手厚くする必要があります。教育関係者には、非行を反省して社会復帰を目指し努力している非行少年がいることを、自分が教えている生徒に知らせていただければ幸いです。

(おわり)

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